君の温もり【薬研藤四郎】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:1,258 hit

4 ページ4

「っ…」

その瞬間、時間が止まっているのかと思うぐらい、ゆっくりだった。

何が起きたのかわからない。

目の前には、胸に刀が刺さった薬研が見えた。

「え…」

そして、薬研はその場に倒れる。
私は近づき、薬研を抱き寄せた。薬研を刺した敵が、また襲ってきたが、近くにあった刀で切る。

「や…げん？」

「たい…しょう、あんま、むちゃすんなよ…。おれ、しんぱいで、もどってきたら…これじゃねぇか…。｣

「もう喋らないで！
…ねぇ薬研、大丈夫だよね？一緒に本丸へ帰ろ？帰ったら、ちゃんと手入れするから…だから…だからお願い、消えないで…」

薬研の体から光が出てきた。
刀は破壊されると、その身ごと消えてしまう。

私が1番見たくなかった光景。

「たいしょう…おれを、うみだしてくれて、ありがとう。…おれいがいのやつに、めいわく…かけんなよ？」

そう言うと、薬研の体は光に包まれた。そして、光が消えると、薬研はそこにはいなかった。

「いやぁあああああああ！！」

泣き叫ぶ私の腕には、まだ薬研の体温が残っていた。