天使は声高らかに死を告げる 【kyo】 ページ21
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天使とは、美しく、それでいて残酷だ。
何故なら人ならざる者だから。何故なら神聖で高貴な存在であるから。
だからこそ__
『あ、あぁ......』
感動で言葉も出ないとは、まさにこの事だろう。
いつも毎日毎日見てきた我が神の像の前、その前にいる御方に私の視線は釘付けになっていた。
背中に広がる純白の2つの翼。そして頭には金色の輪。
天使様、天使様が此処にいらっしゃった。
その姿はとても神々しいものだった。
黄金の髪、そして、黄金の瞳。その黄金の瞳の中には私がいた。
膝を付き、手を組み、そして優越な表情をした私が。
はしたない顔?いや、そんな事など微塵も気になりはしない。ただ、目の前の奇跡_幸運に感動するだけ。
『天使様.....』
やっと出た一言。天使様は私の穢れた声には反応しない。
あぁ、産まれてからずっと、神を信仰してきたかいがあったではない!
天使様をこの眼で拝むことが出来るなんて、これ以上ない幸せだ。
それもこれも、これまで我が神の為に"なんでも"してきたお陰だわ!
天使様は私をずっと見つめ続けていたが、やがて表情が崩れてふっと笑った。
「......今までご苦労やったな」
天使様はやがて口を開いてそう言った。
その身も心も浄化されるような声を聞き、感極まってしまう。
あぁ.....天使様からそんな言葉を頂けるなんて.......。
『有り難き、幸せです』
「.......そうか」
天使様はその純白の翼を羽ばたかせ、私の前へとやってくると私の顎を掴んで上を向かせる。
余りの近さ、そしてこの世のものではない神々しいオーラを間近で体感し、くらっと目眩がする。
「お前はもう、用済みや。神に選ばれ無かった憐れな人間、最期は神の名の下に死ね」
そう言うと、天使様の右手には金色に輝く聖剣が握られていた。
用済み、死ね.......つまりは天使様じきじきにこの私を殺して下さるのだわ!
その事を理解した瞬間、私の身体中に衝撃が走った。
きっと私の頬は赤く染まり、顔は蕩けているのだろう。
嗚呼、なんという幸せ!
私は両手を天使様に向け広げた。
天使は、顔を歪め剣を高く掲げ構えた。
仕事だから目の前の女の顔を見なければならない。でもそれすら天使は嫌だった。
「...ほんま、しょーもな」
天使は最後にそう吐き捨てると、剣を降り下ろした。
天使とは美しく、残酷だ。
だからこそ__人々を魅了する。
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盲目になる
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メロディ(プロフ) - 翡翠さん» いえいえ〜こちらこそリクエストありがとうございました! (2020年4月29日 10時) (レス) id: 1e2bac22f6 (このIDを非表示/違反報告)
翡翠 - リクエストに答えてくれて、ありがとうございます! (2020年4月29日 9時) (レス) id: 48eb906cb5 (このIDを非表示/違反報告)
メロディ(プロフ) - らのらのさん» rdですか....分かりました!書くかは分からないですが考えてみますね〜!教えて頂きありがとうございました! (2020年4月20日 17時) (レス) id: 1e2bac22f6 (このIDを非表示/違反報告)
らのらの - メロディさん» はい!お願いします!ところで「花吐き病」を奇病のやつとしてやるのなら夢主さんがらっだぁさんに恋をして________というのを見てみたいですね!別に誰でもいいのですが……自分、らっだぁさんが推しなので…! (2020年4月20日 11時) (レス) id: 194ccaa0c1 (このIDを非表示/違反報告)
メロディ(プロフ) - らのらのさん» 「花吐き病」ですか....。確かにタイトル的にもあってますね〜!教えて頂きありがとうございます!調べてみますね〜! (2020年4月19日 13時) (レス) id: 1e2bac22f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メロディ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/merodexi032/
作成日時:2020年1月26日 21時