12.2回目のメリークリスマス ページ12
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『もしもし』
智「はい、大野です」
『あ、大野くん？』
智「なに？」
『家行ってもいい？』
智「え、いまから？」
『うん。』
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突然の電話。
クリスマスの日の夕暮れに掛かってきた。
…今から？
夜になにかする気？
思考がグルグル巡って、最後に行き着く答えはクリスマスパーティだろうと思った。
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安直な考えだと嘲笑うかもしれないけど、
Aは生憎、そういう人間。
子どもみたいな考えしかしない。
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智「…わかった、いいよ」
『やったー！ありがと！』
智「はいはい」
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電話を切って、外に出るために着替える。
…絶対何も準備してこないだろうから、ケーキくらい買っておこうと思ったからだ。
ショートケーキにすっか。
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駅前にあるケーキ屋でぱぱっと済ませる。
…って思ったんだけど、行列が出来てる。
クリスマスのときが、ケーキ屋は一番儲けるからなぁって思いつつその行列に紛れる。
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＊「おまたせしました。」
智「はいどうも」
＊「彼女さんと素敵なクリスマスをお過ごしください！」
智「え…？」
＊「顔に書いてありますよ」笑
智「…はは」
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サンタの帽子を被った店員が余計な口出し。
あぁ〜、恥ずかしい。
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袋を強く握りながら、俺の家に小走りで戻る。
Aが先についてたらどうしよう。そんな焦りがある。
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エントランスを抜けるとひとつの影があった。
…Aだ。
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「大野くん！」
智「ごめんごめん、ケーキ買ってきてた」
「管理人さんに開けてもらったの。…あ、ケーキ？」
智「あ、そうなんだ。そうそうケーキ。ショートケーキ。」
「わ、嬉しい。ケーキ買ってなかったんだ。」
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静かに歩き始める。
…本当に買ってなかったのかよ。
呆れるけど、そんなところも好きなんだから。
相当な病気にかかってるのかと自分に呆れる。
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智「はい。」
「おっじゃましまーす！」
智「手洗えよ」
「はーい！」
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わーわーうるさいわ色んなところを物色するわで
一気に賑やかになる俺の家は、一層煌びやかさを増してく。
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きみと、永遠にいられたら。
どれだけこの人生は輝くのかな。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年12月7日 20時
