01.雪が降ってるよ、大野くん ページ1
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「寒い！」
智「んな、さみい」
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駅前のクリスマスツリーがあって、
その明かりに照らされてる俺らは、やっぱりカップルに見られてんだろうなって。
...いや、カップルだよ？俺ら。
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「今年でもう7年目。早いね。」
智「はえーな。もう30かよ。」
「ほんとだよ。困っちゃうよ」
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唇尖らせて言うこいつ。
こいつの二歩後ろでバレないように微笑んでる俺は気持ち悪いかな。
何年も前からずっとこんなことしてるんだけど。
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「あっ」
智「え？」
「写真撮らない！？」
智「やだ、めんどくさい、拒否する」
「そんなこと言わないでさ、ね？」
智「やなものはやだ。」
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どこか不釣り合い。
だけどこの関係性だって心地が良かった。
別にこいつだってこんな俺が嫌なわけじゃないでしょ？...嫌だったら離れてくもん。こいつは。
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「はい、チーズ！」
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...んで結局俺が折れて写真を撮るってのが毎回のこと。
俺はこいつに弱い。
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『メリー！クリースマース！』
智『っせえ...』
『AサンタからAのプレゼントだよ！』
智『くだらねえわ...』
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すべての思い出が走馬灯のように振り返る。
隣にいるAは、冷たくて震えていそう。
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「はやいね」
智「何年だろう。」
「もう、何年だろ」
智「...はやすぎる」
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目を瞑ったら、クリスマスツリーが浮かんで。
俺たちが築き上げた思い出はやっぱりクリスマスが印象的だったんだなぁって。
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行こっか。
何も言わずに、手を取ればAは従順に従って俺についてきてくれている。
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それはきっと、いつもいつも変わらないことだった。
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鼻の先を赤くさせて、ドラエモンみたいなトナカイみたいな。
そんな顔したAは、
顔をくしゃりとさせて、綺麗に笑うんだ。
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涙ぐむのは、素直になれない俺のせいかな。
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出会ったのは、今から10年前の出来事。
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作者名：成瀬
| 作成日時：2017年12月7日 20時
