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「…それで、あの…」
彼女は言いにくそうに目線を逸らすと、一呼吸してからもう一度私を見た。
「…すみません、嘘つきました」
「え？」
「聞いたんです、翔太さんに。…Aさんとお話したくて。どこで働いているのか」
「…そうなの」
「…ごめんなさい、勝手に。翔太さんは悪くないんです。私が無理やり聞いちゃったから」
「うん、大丈夫だよ。それで？話って」
こういう時ほど、女の勘というのはよく当たる。
知りたくなんてないのに、嫌な予感ほど現実になるのだから神様は意地悪だ。
「私、目黒さんの事が好きです」
意を決したように私を見る彼女は、やっぱり想像だけでは終わらせてくれなかった。
神様が意地悪なのはそれだけじゃない。
どうしてこんな、素直な子なの。
もっと意地の悪い子だったら、恨んでやる事くらい出来たのに。
そう思ってしまう自分が、惨めで憎い。
「どうして、私に？本人に言えばいいじゃない」
「良いんですか？」
良いんですかって、なに。
奪う事になりますよ、って言いたいの？
私が告白したら、目黒さんその気になっちゃいますよ？って事？
「好きにしたら？」
「…自信が、あるんですね」
あるのはあなたの方でしょう？
…自信なんて、初めから私にはない。
蓮は私の彼氏だからちょっかい出さないで、って。
七年も付き合ってきたの、これくらいの事じゃ別れたりしない、って。
そんな事言えるほど自信なんてないし素直でもないし、結局私はいつも大人に振舞おうとしてしまう臆病者だから。
こんな時でさえ周りの目を考えてしまう私は、アイドルと付き合っていたんだという事を嫌という程実感してしまって。
私が好きになったのは、“目黒蓮” なのに。
「ごめんね、もう行かなきゃ」
伝票を持って席を立つ。
休憩時間は、まだ30分もある。
だけど、逃げたかった。
声を荒らげてしまう前に。
目の前の彼女から、そしてこの現実から。
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バンビ(プロフ) - 弥生さん» 弥生様、コメントありがとうございます。こんなめめが想像出来過ぎて私も苦しいです。笑 最新作の照君も、どうぞよろしくお願いします。 (2022年4月26日 20時) (
レス) id: 3e6ac61619 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - シリーズ楽しく読ませて頂いてます。この作品のめめがめめ過ぎて苦しー！ってなりました。最新作も更新を心待ちにしています♪ (2022年4月26日 17時) (レス) id: 7916499826 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ねこさん» ねこ様、コメントありがとうございます。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。 (2021年11月21日 22時) (レス) id: 7af38d1460 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - すごく素敵なお話で大好きでした。完結おめでとうございます^_^ (2021年11月21日 22時) (レス) @page44 id: b63bd495ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ
| 作成日時：2021年10月16日 18時
