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「……ごめん。…また、泣かせてる、俺」
そう私の頬を撫でる彼の目も、少し潤んでいる。
「…気付けなくて、ごめん。我慢させてた事も、甘え過ぎてた事も」
そんなの、蓮だけが悪い訳じゃない。
そう思っても、今の私ではとても言葉にはならなくて。
「好きだ。もう、言い訳なんかしたくない。逃げたくない。Aが、好きだよ。俺、Aがいなきゃダメだ」
…随分と、遠回りをした。
いつしか言わなくなっていたこの言葉は、こんなにも胸を熱くするものなのだと初めて気付いた。
仕事が大変で、だけど好きで、彼なりに必死で向き合っているのは見ていれば分かったはずなのに、私は。
彼が一つの事しか出来ないというのは、私が一番良く分かっていたはずだ。
彼を支えたいと心では強く思っていても、結局私も自分の事しか見えていなかった。
渡辺さんの呆れた顔が、ふと浮かんだ。
…私たちは、やっぱり似ている。
私たちに必要だったのは、きっとこれだった。
涙でぐしゃぐしゃなはずの顔を、それでも愛おしそうに見つめるその瞳が、頬に触れる冷たいけど暖かい手が。
今は、というか別れてからずっと、きっと私の事でいっぱいな蓮が、好き。
「…蓮、痩せた？」
だけど私は、こんな回りくどい言い方しか出来ないから。
年上だからって、大人に振る舞おうとしてしまう、臆病者だから。
「Aも、痩せたね」
困ったように眉を下げる彼に「別に蓮のせいじゃないよ」なんて背を向けてしまうのは許して。
隣にある蓮の温もりが急に怖くなってベンチを立つ。
ずっと見せていたけれど、目の前でぐちゃぐちゃな顔で泣くのはやっぱり嫌だ。
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バンビ(プロフ) - 弥生さん» 弥生様、コメントありがとうございます。こんなめめが想像出来過ぎて私も苦しいです。笑 最新作の照君も、どうぞよろしくお願いします。 (2022年4月26日 20時) (
レス) id: 3e6ac61619 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - シリーズ楽しく読ませて頂いてます。この作品のめめがめめ過ぎて苦しー！ってなりました。最新作も更新を心待ちにしています♪ (2022年4月26日 17時) (レス) id: 7916499826 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ねこさん» ねこ様、コメントありがとうございます。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。 (2021年11月21日 22時) (レス) id: 7af38d1460 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - すごく素敵なお話で大好きでした。完結おめでとうございます^_^ (2021年11月21日 22時) (レス) @page44 id: b63bd495ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ
| 作成日時：2021年10月16日 18時
