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「…例えば」
俺が隣に座っても彼女はまだ手を離そうとしない。
「何回言っても服を脱ぎっぱなしにする所が嫌」
目が合う事はなくても、どんな表情をしているのかは分かる。
それくらいには、俺たちは一緒にいた。
「食べたい物が昨日言ったのと違うのも嫌」
「…うん」
「ベトベトの食器は重ねちゃうし掃除は出来ないし、…意味分かんないくらいモテるし」
「…それから？」
「…私より他の人を優先する所も嫌だった」
「…ごめん」
「謝って欲しいんじゃない」
やっと合わせられた彼女の目は、少し潤んでいる。
「嫌われたくないから、私が我慢してたの。好きだから、許せてたの。…でもね、やっぱもうむり」
諦めたようにふっと笑うと、俺の服から手を離した。
「蓮くんは？言ってよ。私の嫌なところ」
「…ないよ、嫌なところなんて」
「そうだよね。私のことが嫌なんじゃなくて、Aさんが好きなだけだもんね」
投げるように吐き出された言葉は、美咲ちゃんの痛みを知るには、充分過ぎてしまって。
どれほどに我慢をさせていたか、無意識に甘えすぎていたか。
全部知るには、やっぱりどうしたって遅すぎる。
「蓮くん、最低だよ。私は彼女なのに、彼女が泣いてるのに。抱き締めてもくれないし慰めの言葉一つも出て来ないなんてさ、そんな男が、なんでモテんのよ、」
彼女の言う通りだ。
今の俺には、何も出来ない。
美咲ちゃんの気持ちを考えたら、何もするべきではないと思った。
…いや、美咲ちゃんの気持ちなんじゃない。
自分の気持ちだ。
最低だなんて、分かってる。
分かってるけど、それでも。
俺はもう、逃げたりなんかしたくないから。
美咲ちゃんの好意に触れていたくて、優しさで返すなんて、そんな事はもうしたくないんだ。
「…美咲ちゃん」
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バンビ(プロフ) - 弥生さん» 弥生様、コメントありがとうございます。こんなめめが想像出来過ぎて私も苦しいです。笑 最新作の照君も、どうぞよろしくお願いします。 (2022年4月26日 20時) (
レス) id: 3e6ac61619 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - シリーズ楽しく読ませて頂いてます。この作品のめめがめめ過ぎて苦しー！ってなりました。最新作も更新を心待ちにしています♪ (2022年4月26日 17時) (レス) id: 7916499826 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ねこさん» ねこ様、コメントありがとうございます。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。 (2021年11月21日 22時) (レス) id: 7af38d1460 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - すごく素敵なお話で大好きでした。完結おめでとうございます^_^ (2021年11月21日 22時) (レス) @page44 id: b63bd495ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：バンビ
| 作成日時：2021年10月16日 18時
