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目黒蓮side
『私、目黒さんの事が好きです』
そう言われたのは、Aと別れてすぐの事だった。
特に驚く事もなく、ただ漠然と、美咲ちゃんと付き合うんだろうなと他人事みたいに考えて。
『…弱ってるところに漬け込むなんて、ズルいって分かってます。でも…好きなんです。私なら、』
『じゃあ、付き合う?』
そんな言葉が出たのは、俺からだった。
何故かなんて考えなくても分かる答えに、自分にたまらなく腹が立つ。
“ 私なら ”
その後に続く言葉を無意識に避けてしまうほど、Aの存在が俺を支配していると気付いてしまって。
それでも俺には目の前の彼女から目を逸らす勇気なんてなくて、結局ただの臆病者なのだと嫌というほど思い知らされる。
『イライラするんだよ』
自分に。
『…え、?』
『余裕がなくなるんだ。Aの事考えると』
そんな自分が、嫌いで。
『でも、美咲ちゃんといる時は、俺、』
ふと香ったAと違う匂いが、全身を包んだ。
そこに体温を感じたのは少し後の事だ。
『私は、どんな目黒さんでも好きです』
女の子に、そして年下に、慰められるなんていつの俺が想像しただろう。
だけどその時は、そうしていて欲しかった。
ただ縋りたかった。
こんな俺を丸ごと包み込んでくれるその優しさを、必要としていた。
美咲ちゃんなんかより、俺の方がよっぽどズルい人間だ。
それでも良いって言ってくれるって分かってる。
『俺は美咲ちゃんが思うような人間じゃないよ』
答えを聞く前に、押し付けるように唇を重ねた。
『…それでも、好きだから』
答えを知っていながら、その言葉に安心している。
惨めで情けなくて、全てを目の前の彼女にぶつけるしかなかった。
Aがいない夏はどう過ごしてたんだっけ、なんて考えてるうちに夏が終わっていて、そんな事言ったら春も秋も冬も、俺は過ごし方なんて知らなかったんだ。
そう気付いてしまった時には、美咲ちゃんが隣にいる事が当たり前になっていた。
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バンビ(プロフ) - 弥生さん» 弥生様、コメントありがとうございます。こんなめめが想像出来過ぎて私も苦しいです。笑 最新作の照君も、どうぞよろしくお願いします。 (2022年4月26日 20時) (レス) id: 3e6ac61619 (このIDを非表示/違反報告)
弥生(プロフ) - シリーズ楽しく読ませて頂いてます。この作品のめめがめめ過ぎて苦しー!ってなりました。最新作も更新を心待ちにしています♪ (2022年4月26日 17時) (レス) id: 7916499826 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - ねこさん» ねこ様、コメントありがとうございます。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。 (2021年11月21日 22時) (レス) id: 7af38d1460 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ(プロフ) - すごく素敵なお話で大好きでした。完結おめでとうございます^_^ (2021年11月21日 22時) (レス) @page44 id: b63bd495ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2021年10月16日 18時