発覚 ページ4
あかあしくんが何部に所属しているか。
その答えは割とすぐにわかった。
昼休み、クラスでほぼ唯一の友達と言っていい友人とお昼。
あまり自分から話題が起きることはなくて、いつもは受け身だったけれど、今日の私には話題があった。
「ねぇ、6組のさ、赤葦って人いるじゃん。何部か知ってる?」
彼女はサンドイッチを口いっぱいに頬張りながら、信じられない、とでも言いたげに私を見る。
「バレー部に決まってんじゃん!!あんた知らないの?うちのバレー部めっちゃ強いんだよ」
「そうだっけ?」
「確か赤葦はレギュラーで副主将だったはずだよ。もともと梟谷は強豪ではあるけど、木兎先輩が特にすごいんだってね」
バレー部担当じゃないからわからないけど、と付け足す彼女はそういえば新聞部だった。
「ふぅん」
「ていうか新聞部とかじゃなくても知ってて然るべき情報だと思うんですけど!」
「だって知らないんだよ。あんたしか友達いないんだから、まして男子のことなんて知る機会ないじゃん」
「まあそうだけどさぁ」
熱量たっぷりに語る友人をすこしだけ羨ましく思う。
私には、なんにも興味がないことだった。
活字が友達の私は、見た目とか性格とかそういうことよりも文字のほうが信用できるのだった。
明確に表されていない好意的なものをこれぞと評価し、褒める。何か因縁や人間関係でトラウマがあるわけでもないのに、私は人に興味がなかったのだった。
それなのに。
「なに?なんかあったの?」
何でもないように聞いてくるけど、ゴシップ好きのことだから変に詮索されるのはいい気分がしない。
適当に答えよう。
「別に。本借りにきて、背とか、が、高いなって思っただけ」
「へーえ」
「運動部なのに本読む暇あるのかなぁとか」
「ふーん」
「何の本読んでるのかなぁ、とか」
「ほーぉ」
…って。さっきから意味ありげな顔でにやにやこっち見てくる。なに。
「ぜんぶ聞いてみればいいじゃん」
「えっ無理無理無理無理無理無理無理」
「何回言うのよwwwまあ、アンタには難しいかー!そうだよねー!うんうん、難しいもんね!」
「バカにされてる」
「あはは、ごめんごめん。つい。それにしてもあんたがそうやって興味持つのってなんか新鮮でさ」
「やっぱりそういうもんか」
「そういうもんだね」
そういえば、今日は赤葦くんが多分いる日。
ちょっとわくわくしてる自分がいる。
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作者名:Eもんかけ | 作成日時:2020年10月21日 17時