Melancholic Mermaid 2

Mermaid56 ページ6

その声の主が誰かなんて、下を向いていてもすぐにわかってしまった。





「誠也くん…」






最高で最悪のタイミング。






何故、今あなたがここにいるの。






ありがとう。コンタクト落としちゃうなんて私ホントバカね、と下を向いたまま受け取ろうとするとー






「礼なら俺の顔見て言ってくださいよ」






私の顔が、大きな手で挟まれてぐいっと前を向かせられた。






「！？！？」






咄嗟に顔をそむけようとするが男の人、しかもアスリートの力に勝てるわけがない。






それでもせめてもの抵抗で、目はぎゅっとかたく閉じている。






「どうして目瞑ってるんすか」






「お願い。何も言わずにコンタクト返して」






「嫌です。俺の目を見てくれないと」






「‥それだけは無理」






「なんでですか」






その問いに対する答えの代わりにどうにもならない思いが涙腺を刺激し続けて、頬を伝うのが止まらない。






私の、本当の瞳の色。






「‥あなたもどうせっ、気味悪がるのでしょう！？」

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