それぞれのバレンタイン＊女鬼神様編�� ページ46
『そもそも、バレンタインは別にチョコを渡す行事じゃないんですよ』
「へえ〜」
『女性から男性にチョコを渡すのは日本だけで、他国は男性から女性にプレゼントをしたり、一緒に過ごしたりが主で…』
「ふうん…」
『…って、聞いてませんね』
まあ、春一さんにバレンタインが何たるかという話をしたところで…と、Aは小さくため息をついた。
一方の春一は、これでもちゃんと彼女の話は聞いていたのである。
男性から女性にプレゼントかぁ〜とのんびり思っていた彼は、突然「あ！」と声をあげて立ち上がると、そのまま部屋を出て行こうとした。
『ちょっと春一さん！？勝手に閻魔殿内をウロウロされると困りますっ』
ああもう！首輪つけて紐で繋いでやろうか…
内心そんなことを思ってAが慌てて後を追いかけると、彼は廊下のほうで何かを探しているようだった。
『何探してるんですか』
「ん〜、台所？」
『台所？…お腹空いたんですか？』
先程、アイスを2つ食べたばかりでは？
そう問いかけてきたAに、
「ちげーよう」
と、春一は首を横に振る。
『簡易的なキッチンなら、あちらの給湯室にありますが…』
Aが指さしたのは、閻魔殿の廊下の奥。
主に、来客の際にお茶を入れたり、獄卒たちが休憩時に使用している場所である。
「じゃあ、ちょっと借りるよぅ〜」
『それは構いませんが…何するんですか？』
「Aは、そのまま待ってて」
『いやでも、』
この雪鬼をキッチンに立たせたら、とんでもないことになりそうな…
春一に頭をポンポン撫でられて、Aは押し黙ると、ちょっと心配に思いながら、鼻歌交じりに給湯室に向かう彼の背を見送った。
──しばらくして、
仕事部屋にて春一を待っていたAは、やっぱり不安に駆られていた。
『(様子を見に行ったほうが良いですかね…)』
気がかりで仕事どころじゃないな…と思った彼女が椅子から立ち上がろうとすると、ちょうど春一が戻って来た。
「お待たせ〜い」
そう言って部屋に入って来た春一は、両手でお盆を持っていた。ふわりと甘い香りがする。
『この香り…』
「ん」
立ち上がりかけたAに、春一はお盆と一緒に乗せていたマグカップを差し出した。
湯気が出ているので温かい飲み物らしい。
『…ありがとうございます』
お礼を言って、火傷しないようにそっと受け取る。
中身はホットココアだった。
それぞれのバレンタイン＊女鬼神様編�ア�←それぞれのバレンタイン＊女鬼神様編��
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めぐりずむ(プロフ) - コメントありがとうございます！励みになります…(๑•̀ㅂ•́)و✧お恥ずかしいとのことで削除依頼されていたので、消させて頂きましたが、すごく嬉しかったです！ (2022年9月17日 1時) (
レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - とても面白いです｡ (2021年11月7日 0時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年9月23日 23時
