それぞれのバレンタイン＊小鬼ちゃん編�� ページ37
「Aちゃんのも食べていい？」
『うん。どうぞ』
自分が渡した紙袋から箱を取り出して、何故だか丁寧にラッピングを外している茄子を見つめて、Aは少しドキドキしていた。
目の前で開封されるのは、やはり緊張するのだ。
「わ！ドーナツだ〜！」
箱の中に、バレンタインぽくいちごチョコやホワイトチョコ等で可愛くデコレーションされたココア生地のドーナツが4つ入っている。
『毎年同じようなチョコってのも、芸が無いかと思って…』
だから、今年はドーナツにしてみたの。
カップケーキも考えたけど…被らなくて良かったかも。
まあ、被ったらそれはそれで面白かったかもだけど。
と、話していたら、茄子は早速箱の中からドーナツを2つ手に取った。
「見て見てAちゃんっメガネ！」
目の所まで持って行ってそう叫んだ茄子を、
『食べ物で遊ばない！』と叱る。
『(やると思った…やっぱり小学生みたい…)』とAはため息をついて、『茄子らしいけどね』と微笑んだ。
「Aちゃん、俺、Aちゃんのこと、だーい好きだよ！」
『恥ずかしいなもう……でも、嬉しい。ありがとう』
ドーナツを渡した意味、カップケーキをくれた茄子ならわかるかな…
ああでも、お香姐さん監修だから…意味まではわかんないか…
『私も好きだよ…』
ポツリと小さく呟いたら、ドーナツを頬張っていた茄子が喉を詰まらせそうになって、背中を叩いたりお茶を渡したりでちょっと大変だった。
ようやく落ち着いて一息ついた茄子が、慌ててAに問いかける。
「Aちゃん…今」
『さて！昼休み終わるし、仕事戻ろっ』
残りは帰ってから食べようかな〜
Aは箱を閉じてそそくさと立ち上がると、恥ずかしさを誤魔化すためにさっさと歩き出した。
「待って待ってAちゃんもう1回！さっきの、もう1回言って！」
『もう言いません〜』
だって、聞こえてたんでしょ？
振り返らずに呟いた彼女の後ろを、「えぇー…」と不服そうに口を尖らせて、茄子が追いかけて行く。
「あ、Aちゃん照れてる。可愛い〜」
『照れてないからっ！』
そんなやり取りが聞こえてきて、
「…あれでまだ付き合ってないんですか？」
「しっ…鬼灯様、聞こえちゃいますよ」
またもや隠れて様子を見守っていた鬼灯はため息をつき、
一緒に居た今回陰の立役者でもあるお香は、「とりあえずは成功ね」と微笑んで、2人を見送ったのだった。
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めぐりずむ(プロフ) - コメントありがとうございます！励みになります…(๑•̀ㅂ•́)و✧お恥ずかしいとのことで削除依頼されていたので、消させて頂きましたが、すごく嬉しかったです！ (2022年9月17日 1時) (
レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - とても面白いです｡ (2021年11月7日 0時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年9月23日 23時
