女神獣様の災難�� ページ16
『何お前、ボクの酒が飲めないっての〜？』
「いや飲んでますが」
しばらく経って宴もたけなわといった頃、既に深酒をしていたAは大吟醸の瓶を片手に、いつの間にか隣に座っている鬼灯に詰め寄っていた。
「あぁ…A様が鬼灯さんに絡み酒を…」
さっきから、『もっと飲め飲め〜』と言わんばかりに鬼灯のグラスにお酒を注いでいる彼女を見て、桃太郎は頭を抱えた。
対する鬼灯は元々お酒に強いこともあって、特に困った様子もなく注がれた大吟醸を普通に飲んでいる。
「Aちゃんが鬼灯君に絡んでいくなんて珍しいね」
それだけ酔っ払ってるってことかなぁ…
と、一部始終を見ていた閻魔大王が呟いた。
『鬼灯はさぁ…何考えてるかわかんないよネー』
「そうですか？」
A様が鬼灯さんの名前を呼ぶのも、ああやって色々話しているのも珍しいな…と桃太郎は思った。
『昔からそうだよ…何で毎度毎度、ボクに突っかかって来るのさ？』
ボクのこと嫌いなんでしょ。
「……それは、」
何だか拗ねたような彼女が珍しくて、一瞬目を見張った鬼灯は、考えを巡らせる。
…言おうか言うまいか。
しかし、こんな場所ではムードもへったくれもない。
しかも相手は酔っ払っている。伝えたところで、次の日に覚えているかどうかも怪しい。
それでも再度口を開こうとして、彼は隣のAが静かになったことに気がついた。
それは様子を伺っていた桃太郎も同様で、「あれ？A様…静かになったな…」と思った。
「……寝てる…！！」
よくよく見たら、彼女は既に寝ていた。
空になった大吟醸の瓶が転がっていく。
「ええ…まじか…」と、なんとなく鬼灯の心中を察した桃太郎は思わず呟いた。
寝てしまったAの頭がぐらりと傾いだと思ったら、そのままコテンと隣の鬼灯の肩に寄りかかった。
一方の鬼灯は、珍しく驚いたような顔をして固まっている。
そんな状況を見て、お香は「あらあら〜」と微笑んだ。
「すみません鬼灯さんっ。今、起こしますんで…」
慌てて彼女を起こそうと立ち上がった桃太郎を、鬼灯は手で制して言った。
「…別にいいですよ、このままで」
「はあ…」
いや、貴方は良くてもA様が多分…
酔いが覚めて起きた時が大変そうだな…と、桃太郎は再度頭を悩ませた。
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めぐりずむ(プロフ) - コメントありがとうございます！励みになります…(๑•̀ㅂ•́)و✧お恥ずかしいとのことで削除依頼されていたので、消させて頂きましたが、すごく嬉しかったです！ (2022年9月17日 1時) (
レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - とても面白いです｡ (2021年11月7日 0時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年9月23日 23時
