桃の子と地獄のアイドル ページ1
今日は桃源郷の仙桃農園で、
地獄アイドル ピーチ・マキが「仙桃キャンペーン」の撮影を行なっている。
邪魔をしてもアレだしな…と、現在農園の管理も担っているAは、「極楽満月」の従業員のウサギたちと一緒に、隅の方で撮影の見学をしていた。
『(アイドルって生で見るの初めてだ…やっぱり可愛いなぁ〜…)』
と、思わずマキを見つめてしまう。
女の子らしいって、ああいう子のことを言うんだろうな… 自分には無い可愛さだ…
なんて、ちょっと卑屈なことを考えてしまい、慌てて頭を振る。
「AはAらしくでいいんだよ！」
と前にシロが言ってくれたことを思い出して、彼女は膝に乗せていたウサギを撫でて微笑んだ。
シロはアホ犬って言われるくらいおバカなところがあるけど、時々こうして背中を押してくれるようなことを言ってくれるんだよね…と。
そうしている間に無事に撮影は終わったらしく、スタッフが「マキちゃんお疲れ様〜」と声をかけている。
そんなマキに声をかけた神獣が1人。
この仙桃農園の持ち主であり、極楽満月の店主、白澤である。
「お疲れ様〜可愛いポスターになると良いね」
「あ、どうも。撮影協力、ありがとうございます！」
ニッコリ笑ったマキに、白澤は仙桃を差し出して、
「良かったら、薬膳でも一緒にどう〜？」
そしてそのまま仙桃ごと、彼女の両手を包み込んだ。
「まあ、僕は食べたいものが違うわけだけど」
自分の欲望を隠しもせず言ってのけた白澤に、
「ええ…何この人…逆に
そう呟きながらも、マキは笑顔を崩さない。
何故なら彼女が今売りにしているのは、"清純派アイドル"だからだ。
そんな、突然アイドルのナンパを始めた白澤の頭を、Aは後ろから思い切り拳で殴った。
ゴンッといい音がして、白澤が前のめりによろける。
「あいたっ！？」
『すみません、ウチの店主がご迷惑をおかけして…』
そう言って謝罪をしてきたAに、マキはさすがに引きつった笑顔を向ける。
「い、いえ…」
この女の子、今、思いっきり頭殴ったような…
「もう、Aちゃんてば乱暴だなぁ〜」
と、白澤は涙目で口を尖らせて言った。
『自業自得でしょう』
何、ここぞとばかりにナンパしてるんですか！
変なお誘いまでして！
「え〜何なに？ヤキモチ〜？」
ヘラヘラ笑って絡んでくる白澤を、
『違いますけど』
彼女はバッサリ切り捨てたのだった。
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めぐりずむ(プロフ) - コメントありがとうございます！励みになります…(๑•̀ㅂ•́)و✧お恥ずかしいとのことで削除依頼されていたので、消させて頂きましたが、すごく嬉しかったです！ (2022年9月17日 1時) (
レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - とても面白いです｡ (2021年11月7日 0時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年9月23日 23時
