小鬼ちゃんと盂蘭盆祭り�� ページ5
『茄子っ！お待たせ』
いつもの待ち合わせ場所で、ボーッとしていた茄子に声をかける。
普段ならAのほうが早く来ているのだが、今日は着替えたりなんだりで少し遅くなってしまった。
「Aちゃん…」
こちらを振り返って一瞬固まった茄子が、嬉しそうに頬を染めてAに駆け寄った。
「すっごい可愛い！！」
俺、今めちゃくちゃビックリした！
と、茄子は彼女の両手を握る。
『あ、ありがとう…』
「可愛い可愛い、めちゃくちゃ可愛い！！」
両手をぶんぶん振られて、褒められて嬉しいやら恥ずかしいやらで、Aは顔を赤くしながら呟いた。
『わ、わかったから…』
「俺のため？」
『そーゆーんじゃないから！』
お姉ちゃんが、着て行けって言うから！
と慌ててそっぽを向く。
「えー」
『いいから行くよっ』
そう言うとAは茄子の手を掴んで歩き出した。
茄子の手を引っ張って歩くのは、彼女にとっては幼い頃からの癖みたいなものだ。
だから、特別意識したことなんて殆どなかった。
突然掴んでいた手が離されたと思ったら、今度はギュッと、指を絡めるように握られて、Aは少し動揺した。
『えっ…』
「何から食べよっかー」
対する茄子はいつもの調子で、ニコニコと屋台の話を始める。
『お香姐さんがたこ焼き屋出店してるから…まずはそこ行こう』
また赤くなった顔を隠すように、Aはそっぽを向いて、茄子と一緒に歩き出した。
「あら、Aちゃんに茄子ちゃん！いらっしゃい。浴衣可愛いわねぇ〜」
『あ、ありがとうございます！』
たこ焼き屋に着くや否や、お香にそう微笑まれてAは照れながらお礼を言った。
「お祭りデートみたいね」
はい。ジャンボたこ焼き2つ。
『そ、そういうんじゃないです…』
お香からたこ焼きを受け取りつつ、隣の茄子をチラ見した。
「でっけーたこ焼き！」と目を輝かせている。
ほら、こんな感じだし…とAは呆れたようにため息をついた。
営業の邪魔にならないように…と2人は屋台の近くにある空いたスペースに移動して、たこ焼きを食べ始める。
『茄子、口にソースついてる』
「え〜？」
『もう、しょうがないなぁ…』
Aはかごバッグからティッシュを取り出すと、それで茄子の口を拭いてあげた。
「(こうして見ると、手のかかる弟を持ったお姉ちゃんって感じね…)」
その様子を遠目から見ていたお香は、そんな風に思って微笑ましく見守っていたのだった。
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めぐりずむ(プロフ) - コメントありがとうございます！励みになります…(๑•̀ㅂ•́)و✧お恥ずかしいとのことで削除依頼されていたので、消させて頂きましたが、すごく嬉しかったです！ (2022年9月17日 1時) (
レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
琉流 - とても面白いです｡ (2021年11月7日 0時) (レス) id: 45a1f0a151 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年9月23日 23時
