盂蘭盆地獄祭り�� ページ41
一方、鬼灯とAは手を繋いだまま、メインステージへ向かっていた。
『シロ君、大丈夫かな？』
多分、お休み前に説明したこと忘れてたよね…
と呟くAに、
「柿助さんとルリオさんが居るから大丈夫でしょう」
鬼灯が返す。
この後控えている大仕事に対して、やる気十分といった感じのAを見て、鬼灯は声をかける。
「昨年も思いましたが、別に貴女まで現世に赴く必要はないんですよ」
『獄卒の皆が頑張ってくれてるのに、私が行かないでどうするの』
部下が休み明けで一生懸命働いてるのに、上司がのうのうとしてちゃダメでしょ。
と答えたAは、真剣に仕事のことを考えている時と同じ顔をしている。
「…そう言うと思ってましたよ」
本当はあんまり現場に出て危険な目に合ったりして欲しくないのですが…
という言葉を飲み込んで、鬼灯は彼女の手をギュッと握り直した。
「Aの雷で、地獄に戻りたがらない亡者を一掃できたら回収が楽なんですけどね」
『そんなことしたら、現世の人がビックリしちゃうよ…』
勿論、生きてる人々に当てたりはしないけど、突然空から落雷が降り注いだりしたら、パニックになりそうだ…
「冗談ですよ」
ちょっと言ってみただけです。
鬼灯はそう言うと、困り顔のAの頭をポンポン撫でて、彼女の頭の後ろで揺れるホオズキの簪を見つめる。
以前、自分がプレゼントしたもので、今日それをつけてくれて来たことが、実は結構嬉しかったのだ。
「今度、現世のお祭りにも行きましょうか」
鬼灯の言葉に、Aも頷いた。
『花火大会とかも良いね！』
……今度は2人っきりで行こうね。
と小さく呟いた彼女の声に、鬼灯が立ち止まる。
『わっ！？』
そのまま彼に抱きしめられて、Aは目を見張った。
『どうしたの鬼灯君』
驚いたように自分を見上げてくるAに、
「いえ…ちょっと突然貴女を抱きしめたい衝動に駆られまして」
と鬼灯は答える。
『？』
首を傾げたAは、『あ、そうだ…』とある事を思いついて、彼に声をかけた。
『鬼灯君、ちょっと屈んでくれる？』
その言葉に少しだけ身を屈めた鬼灯の頬を両手で包んで、彼女も少し背伸びをする。
そして、ちゅっと触れるだけのキスを送って、
『休み明けからすぐで大変だけど…頑張ろうね』
Aはふんわりと微笑んだ。
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めぐりずむ(プロフ) - 愛梨さん» コメントありがとうございます！！今後も頑張って更新していきますので、これからも読んで下さると嬉しいです！！ (2021年8月28日 22時) (
レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
愛梨(プロフ) - 鬼灯の冷徹が好きで探してたら作品を見つけて一気に見ちゃいました！！すごく良いと思います！！更新待ってます！！ (2021年8月27日 19時) (レス) id: f200af67bb (このIDを非表示/違反報告)
めぐりずむ(プロフ) - 水傘るんさん» コメントありがとうございます！励みになりますー！ (2021年7月26日 20時) (レス) id: ef3bd6ce41 (このIDを非表示/違反報告)
水傘るん(プロフ) - 成り代わり系の小説あんまり見かけないので読んでてすごく面白かったです！更新楽しみにしてます！ (2021年7月21日 17時) (レス) id: 9a4a29443d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年7月16日 10時
