雪�� ページ7
「Aママ、お餅焼けた」
「ぷくーってなってる」
じーっと火鉢を見つめていた一子、二子が、餅がぷくーっと膨れたのを見て、同じように頬を膨らませてAに報告する。
『ふふっ、2人とも頬っぺたお餅みたい』
そんな双子の頬をつんつんして微笑んでいるAの姿は、実に和やかだった。
そこへ、かまくらの中から顔を出した鬼灯が声をかける。
「鍋、できましたよ」
「鍋だー」
「わーい」
『鬼灯君、ありがとう！』
「中のセッティングは春一さんにお願いしました」
「お〜う。それにしても、かまくらん中アッチーなぁ〜」
『春一君も、準備ありがとうね』
「お〜」
動物同士で何やら盛り上がっていた桃太郎ブラザーズとポラリスも、「鍋できたの！？俺お腹ぺこぺこ！」というシロの嬉しそうな声と共に戻ってきた。
さっそく皆でかまくらの中に入り、ちゃぶ台と鍋を囲む。
ちなみにポラリスは身体が大きいので、春一は「かまくら内が暑い」と言って、自ら外にいる。
『春一君もどうぞ〜』
鍋の具を
『あ。でも、このままは春一君には熱すぎるかな…』
せめて…と思ってお盆に乗せたが、そもそも熱々の鍋は雪鬼の彼には熱すぎるのでは…？と困ったように首を傾げる。
「冷やして食べるから大丈夫だよぅ」
春一はお盆ごとそれを受け取ると、近くにあった木の
「冷やすの！？」
「冷やし鍋って聞いたことないな…」
「見てるだけで寒い…」
かまくらの中からそれを見ていた桃太郎ブラザーズ3匹は、驚いてそれぞれ感想を述べた。
上から、シロ、ルリオ、柿助の順である。
「あれ、衛生的に大丈夫なんですかね」
「まあ、春一なんで…」
鬼灯から受け取った鍋の具を冷ましながら、ポラリスはもう慣れっこだと言わんばかりにため息をついた。
外は寒いが、かまくらの中は不思議と暖かい。
それを疑問に思ったのか、シロが首を傾げた。
「ねぇねぇ！なんでかまくらって溶けないの？」
『雪なのに不思議だよねー』
「一応溶けてるんですよ」
のほほんと答えたAとは対照的に、鬼灯はかまくらが溶けない理由を説明し始める。
「まあ、皆さん実践したのでわかると思いますが…かまくらは雪を圧縮して作ります。
先程も言ったように、固まった雪は溶けにくいんです」
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2023年9月25日 13時
