【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ八】 (ページ6)

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雪⑧ ページ6

『でも、こんなに色々と大変だったんじゃ…』

「クマにも手伝ってもらったよぅ」

春一は自分の後ろにいるシロクマを指さしてのんびり言った。
そんなシロクマの背中には、さらに大きな風呂敷とちゃぶ台が括り付けられている。

「シロクマだ」
「クマー！」

初めて見るシロクマに大興奮の双子は、物怖じせずに駆け寄って行った。

「「お名前なんて言うの？」」
と2人に聞かれて、春一は「えーと…」と少し考えた後……
「クマ」と答えた。

「春一、お前なぁ……俺の名前はポラリスだって！！いい加減覚えろよっ」

立派な名前があるにも関わらず、何なら付き合いは長いはずなのに一向に名前を覚えてもらえず、シロクマのポラリスが叫ぶ。

「"北極星(ポラリス)"だぞ！？覚えにくいか！？」
と彼は常に思っているのだが、春一は全然覚えてくれないのだ。

『わぁ、素敵なお名前！ポラリスさん、ありがとうございます』

「あっ、いやそんな…」

突然Aに自分の名を褒められてお礼を言われたので、ポラリスは照れたように頭を下げた。

「ポラリスって名前カッコイイ…！！俺なんて色の情報しかないのに……」

もっとアレキサンダーみたいな名前が良かったな～とボヤくシロに、「いや桃太郎のお供で名前がアレキサンダーって時代的におかしいだろ」とルリオがツッコミを入れる。

『鬼灯君はポラリスさんに会ったことあるんだっけ？』

「はい、何度か……お名前は今初めて知りましたけど」

なんて皆で話していたら、春一から声がかかった。

「お～い、鍋作らないのかよぅ～」

「……いつもマイペースなアイツに急かされるのなんか腹立ちません？」

かまくらの中を覗いて「おー、やるなぁ八大…」と呟いている春一を見つめて、ポラリスがボソッと呟いた。

────さて、ポラリスが持ってきてくれた荷物の中には携帯用コンロだけでなく、かまくらには欠かせないものも入っていた。

『わぁ、火鉢もある！』

「餅もあるよう～」

鬼灯が鍋の準備をしてくれている傍ら、Aは火鉢をかまくら近くの外に置いて、火起こしの準備をする。

無事炭に火がついたら、灰の中に少し間隔をあけて置いて、五徳の上に鉄瓶や網を設置したら準備完了である。

今回は春一が餅を持ってきてくれたので、網の上で餅を焼くことにした。
餅が焦げすぎないよう見張るのは、一子と二子の役目だ。