【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ八】 (ページ4)

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雪⑥ ページ4

────数時間後、

一通りチームを組んでの雪合戦を終えても、座敷童子の双子は桃太郎ブラザーズを交えて雪の中を走り回っていた。

皆元気だなぁ～と思いながらその輪の中から抜けたAは、『はぁ～…やっぱり寒いね』と言いながら、先程まで審判をしていた鬼灯のそばまで歩いて行く。

「A、雪合戦お疲れ様でした」

『鬼灯君も審判お疲れ様。雪合戦なんて久々にやったから、手袋びしょびしょ…手、冷たくなっちゃった』

手袋を外しながらへにゃっと笑ったAは、鼻と指先が真っ赤になっている。
そんな彼女をじーっと見つめて、鬼灯が一言。

「鼻水出てますよ」

『嘘っ！？』

指摘されて、Aは慌てて自分の顔を手でおおった。

「冗談です」

『もうっ…鬼灯君の意地悪…』

しれっと冗談だと言われて、彼をジロリと睨む。

そんな視線を気にした様子もなく、鬼灯は冷たくなっているAの手を取った。

「子供みたいにはしゃぐからですよ。カイロはどうしたんですか」

『それが…もう効力なくなっちゃったみたいで…』

既に冷えて固まりつつあるカイロをポケットから出して見せられて、鬼灯はため息をつく。

「全く…風邪引きますよ」

そう言うと、雪で湿ってしまった彼女のマフラーを外して、代わりに自分のマフラーを巻いてあげた。
髪についた雪を払うのも忘れない。

『…ありがとう。でも、鬼灯君が首元寒くない？』

「私はネックウォーマーと2段構えなので」

そう言った鬼灯ら、どうやら防寒対策にとマフラーの下にネックウォーマーもつけていたようだ。

「それから…」

鬼灯は自分のコートのポケットからカイロを2つ取り出すと、Aの手に握らせた。

「まだ暖かいので、ポケットに入れて手を温めて下さい」

『うん。ありがとう』

カイロを受け取ったAは、両手の指先をじんわり温めてからはたと気がつく。
コートの右側のポケットには、先程濡れた手袋を入れてしまっていたのだ。

とりあえず左側のポケットにカイロを1つ入れて、
『やっぱり、もう1つは鬼灯君に返すよ』と彼のほうにカイロを握った右手を差し出す。

そんな彼女の手をカイロごと握ると、鬼灯は繋いだままの手を自分のポケットに入れた。

突然のことに目をパチクリさせているAに、
「こうしていれば、お互い暖かいでしょう」と告げる。

『…うん！』

Aは嬉しそうに微笑むと、そのまま鬼灯に寄り添った。