墓守アヌビスの日本訪問�� ページ18
《珍しいね〜電話くれて嬉しいよ！それで、どうしたの？何か困り事？》
『うん。ちょっと頼みたいことがあっ…』
何事もなかったかのように話を続ける白澤に、こちらも手っ取り早く要件を伝えようとしたら、パッと横からスマホを奪われてしまった。
勿論、鬼灯にである。
「もしもしお電話代わりました」
『ちょ、鬼灯君っ！』
慌てて手を伸ばすも、ひらりと躱されてしまう。
《なんでお前が代わるんだよっ！》
僕に用事があるのはAちゃんのほうだろっ！と文句を言ってきた白澤に、鬼灯は舌打ちした。
「チッ……説明するのが面倒なので、とりあえず閻魔庁に来て下さい」
《は！？いやそこは説明しろよっ！というか何だよ最初の舌打ち！！》
「いいからさっさと来い」
それだけ言って電話を切ると、鬼灯は自分に取りすがるようにくっついていたAに「はい」とスマホを返した。
ついでとばかりに、彼女の頭もぽんぽん撫でておく。
『もう…』
白澤にお願いしてはどうかと提案したのは自分だったが、Aは『やっぱり先が思いやられるなぁ…』と小さくため息をついた。
───しばらくして、
「Aちゃ〜ん！僕を呼んでくれたんでしょ？嬉しいなぁ〜」
閻魔殿にやって来た白澤が、手をフリフリ嬉しそうに駆け寄って来た。
ちなみに桃太郎は薬配達のため不在だったらしく、シロたち桃太郎ブラザーズは少々残念そうにしていた。
すかさず、鬼灯がAを自分の背に隠す。
『あ。えっと、私じゃなくて、エジプトから来たアヌビスさんがね…』
鬼灯の背中からひょっこり顔を出して、Aはアヌビスを紹介した。
「アヌビスさん…？」
そう言われて白澤は、シロたちの隣に居る黒ジャッカル、アヌビスの存在にやっと気がついたようだ。
アヌビスも、「あ、どうも」といった感じで会釈する。
2人とも「そういえば運動会の時に居たな…」なんて思っていたが、実は初めましてである。
お互いに軽く自己紹介をして、白澤は自分が呼ばれた理由をアヌビス本人から聞いたのだった。
「ふ〜ん、なるほど。それで生薬について知りたい訳か」
ふむふむと頷いている白澤と、
「はい！是非ご教授願います」とお願いしているアヌビスを見て、ふと、鬼灯がとんでもないことを言ってのけた。
「アヌビスさん、最近ミイラは作ってないとおっしゃってましたね」
「はい」
「その神獣で作ってください」
「え」
「！？」
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2023年9月25日 13時
