墓守アヌビスの日本訪問�� ページ17
ショックを受けていたアヌビスは、まだ聞きたいことがあったのを思い出し、気を取り直して…！と目の前の鬼灯とAに尋ねた。
「次はハーブについてお伺いしたいのですが」
「『ハーブ？』」
「えーっと、東洋ではスパイスでしたかね？」
首を傾げた2人に、トト神から言われたことをそのまま伝えてみる。
『スパイス……生薬とか漢方薬のことかな』
確かに、スパイスとして料理に使われているものには漢方薬でも使用されているものがいくつかある。
恐らくそれのことだろうと、Aは思った。
「まだ埋まっているミイラの状態を保つため、定期的にハーブを変えたりしているので参考になればと…」
「へー！アヌビスさん、そんなこともやってるんだ！」
「防腐や匂い消しで言うと、
「あ、カルダモンでしたらエジプトでも祈祷の際の香として使っていました！なるほど、漢方薬…」
ちなみに、小豆蔲=カルダモンであり、「香りの王様」と呼ばれている。
『漢方なら、桃源郷にいる白澤君が詳しいですよ！あ、白澤君というのは神獣の…』
「なんと！？是非お会いしたいです！」
漢方のことならやはり白澤だろうと思って、Aはアヌビスに提案してみたのだが……
「A様A様っ！！鬼灯様がすっごい表情してるよっ！？」
シロの声に慌てて隣を見ると、鬼灯が苦虫を数十匹噛み潰したような顔になっていた。
しまったと思ったが、時すでに遅しである。
「何故あの男に…」
もの凄く嫌そうに、いつもよりワントーン低い声で呟いた彼を見て、真っ先に白澤の名前を出したのは良くなかったかもしれないと少し反省する。
しかし、餅は餅屋だ。
『鬼灯君も詳しいのは知ってるけど、ここは専門家にお願いしよう？』
漢方の専門家として、桃源郷で漢方薬局を営む白澤はまさに適任といえるだろう。
「………」
否定はしないが納得のいかない鬼灯をよそに、Aは白澤の店「極楽満月」にスマホで電話をかけはじめていた。
《
『あ、もしもし白澤君？』
《えっ、Aちゃん！？》
電話の向こうで、驚いて椅子から転げ落ちたような音がした。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2023年9月25日 13時
