墓守アヌビスの日本訪問�� ページ14
『あの、アヌビスさんはどうして
シロ君に会いに来た…ってだけじゃないですよね？とAに尋ねられて、アヌビスは本来の目的を思い出した。
「そうでした！今回来たのは他でもない、東洋のミイラについて学びに来たのです」
「『ミイラ？』」
突然のミイラの話題に、鬼灯もAも首を傾げる。
「トト神が、日本にもミイラの文化があると教えてくださって…」
「…………もしかして、
『ああ、そっか』
アヌビスの説明を聞いて、鬼灯もAも合点がいったように顔を見合わせた。
確かにあれも、ミイラといえばミイラだ。
「ソクシンブツ！やっぱりあるんですね！？」
「エジプトほど文化として有名でもないですが……あ、河童や人魚のミイラは有名です」
『後者のは偽物が多いけどね…』
現代に伝わる河童や人魚のミイラは、過去、見世物小屋で人を呼ぶために人工的に作られたものが多く、殆どが偽物と言われている。
まあ、地獄で働いている獄卒たちからしてみれば、本物が三途の川の中に居たりするので別段珍しくもない。
「本当にあったんだ。トト神さすが！」
アヌビスは興味津々である。
「今、ミイラを見ることはできますか？」
『うーん…ミイラ自体は現世で奉られてるから、すぐには難しいかもです』
「即身仏になった本人は今天国でしょうね」
「ソクシンブツになれるのは権力者ですか？それとも庶民？」
「いや、僧侶ですね。生きながらミイラになったと言うべきか…とにかく目的は相当違いますよ。墓もなく奉られてますし」
『ミイラといえば確かにそうなんだけど…成り立ちから違うもんね』
「そうなんですか」
「権力者の墓が大きいのは共通してますが」
「そこはまぁ世界共通でしょう」
『日本だと古墳とか？』
と、皆でミイラ談議をしていると、疑問に思ったのかシロがアヌビスに聞いてきた。
「ねーねー、何でミイラについて興味あるの？」
「私アヌビス神は、死者のお迎えの神であり、裁判で秤を使う神であり…ミイラ作りの神でもあります」
「へぇ〜、なんか役職がいっぱいだね！」
「エジプトに限らず、神々は色んな役職を兼任してることが多いですね」
日本やギリシャの神々もそうですよ、と鬼灯が付け加えた。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2023年9月25日 13時
