【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ八】 (ページ2)

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雪④ ページ2

「現世で雪があまり降らない地域に住む人々は、積もった雪にお湯や水をかけて溶かそうとしがちですが、実は逆効果なんですよね」

「え、そうなの？」

スコップで雪を積み上げていた鬼灯の言葉に、シロが首を傾げる。

「完全に溶ければ良いですが…そもそも気温が低いと、周囲の雪は溶けきらずにまた凍ってしまうんです。結果、路面凍結などに繋がります」

『車とか靴で踏み固められちゃうと、そのまま凍っちゃうんだよね…雪道に慣れていない人だと転倒の危険性もあるし…』

「へぇ～」

「ですが、かまくらをつくる際はこれが役に立ちます。例えば、この雪に水をかけて、ギュッと固めると……」

鬼灯はそう言いながらすくいとった雪を、おにぎりを作るが如くギュッと握った。

…何やらゴリッという、雪にあるまじき音がした気がするが、気のせいだろう。

「はい、攻撃力も抜群な石のように硬い雪の塊ができました」

差し出された彼の手の上に乗っている雪(だったもの)が、圧し固められてすでにガチガチの氷塊のようになっているのを見て、傍から見ていた柿助とルリオは思った。

「「(鬼灯様の握力が強すぎるからでは！？)」」

──とまあ、そんなこんなで鬼灯が加わり、更に桃太郎ブラザーズの3匹も手伝ってくれたおかげで、短い時間で皆が入れるくらいの大きなかまくらが完成したのだった。

「できた！」
「大きい！」

一子と二子は満足そうに頷くと、さっそく中に入ってみたり、周りを駆け回ったりしている。

『2人とも、居心地はどう？』

かまくらの中に入って座っている双子にAが声をかけると、

「なんか物足りない」
「お尻冷たい」

「「……敷物とちゃぶ台が欲しい」」
と更なる要望が返ってきた。

「あ！鍋もいいんじゃないっ？」

かまくらを作っているうちにダイエットのことはすっかり忘れたのか、シロも元気よく声をあげた。

「さすがにそこまで用意してませんよ」

『うーん…せっかくだから、八寒の皆さんに貸してもらおうか？長の方々が集まる集会所なら、そんなに遠くないし…』

「いえ。この際だから持ってきてもらいましょう」

鬼灯はそう言うと、どこかに電話をかけ始める。

「…もしもし、春一さんですか。少々お願いしたいことが…」

どうやら相手は春一のようで、かまくらを作ったため借りたいものがある旨を伝えて電話を切った。