【鬼灯の冷徹】短編集其ノ三【成り代わり】 (ページ7)

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女神獣様と2人の悪女⑦ ページ7

「ところで、お2人はいつまで隠れているつもりですか」

突然、Aの後ろの入口側に向かって鬼灯が声をかける。

『？何言って…』

と、彼女が振り返ると…

「あら、せっかく良い雰囲気だと思ったのに～」

「鬼灯様って、好きなコ程いじめたいタイプ？」

入口の扉の隙間から、妲己とリリスがひょっこり顔を出した。

『妲己ちゃん！？リリスちゃんも！？』

いつから見てたの！？と叫ぶAに、"好きなコ"という単語はスルーされたようだ。

「そりゃあ、最初のやり取りからよぉ～」

今まで隠れて様子を見ていたらしい妲己とリリスの悪女2人は、ニマッと笑う。

『べ、別に変なことは何も……』と弁解しようとしたら、

「あら、アタシたち何も言ってないわよ」
「変なことって何かしら」

なんて言われて、Aは顔を赤くした。

『お前も見てないで何か言えよっ！』

鬼灯に声をかけるも、

「お土産、喜んで頂けたようで何よりです」と何だか満足そうにしている。

『よ、喜んでないしっ』

「喜んでましたよね」

『あーもう、やっぱりちょっと黙ってて！』

「なるほどそういう関係なのねぇ～」とニマニマしている悪女2人に、
『～っ！！コイツとはただの腐れ縁だからっ』と慌てて否定するも、全く聞き入れてもらえず……

「A様も素直になれば良いのに～」だの、
「鬼灯様も、もっとグイグイ行っちゃいなさいよ～」だの言われ放題である。

いたたまれなくなって、Aは改めて『(お願い桃タロー君、早く帰ってきて…！！)』と切に願ったのだった。

一方、八大地獄の閻魔庁にて。

「へぶしっ」

薬の配達に来たついでに、シロ、柿助、ルリオの3匹に会いに来ていた桃太郎は、突然鼻がムズムズして大きくクシャミをした。

「オイオイ大丈夫か？」
「桃太郎、風邪？」
「誰かに噂されてるとかな」

と3匹に言われて、首を傾げる。

「いや、誰かに呼ばれたような…」

というか多分、A様だな…

何やら助けを求められている気がして、早く店に戻ってあげようと思った桃太郎だった。