【鬼灯の冷徹】短編集其ノ三【成り代わり】 (ページ4)

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女神獣様と2人の悪女④ ページ4

ガールズトークと言っても、妲己とリリスが「最近イイ男居た？」といった話や、わりと際どいワードが飛び交う話をしているのをAは相づちを打ったりして聞いているだけだったが。

ちなみに一応"ガールズ"トークなので、鬼灯のことは『ちょっとお前あっちに行っててヨ』と部屋のすみっこに追いやっておいた。

そんな鬼灯は現在、店内に居るウサギ(従業員)たちをモフモフしている。

「ねぇ、A様。鬼灯様のこと、放っておいていいの？」

『いいのいいの！』

チラッと彼のほうを見たリリスに聞かれて、『居ても居なくても一緒だから』と笑顔で答える。

「鬼灯様って、ちょっとお堅いわよねぇ」

『アイツ？いつもあんな感じだよ？』

「ふぅん…」

ウサギをモフり続けている鬼灯を今度はジーッと見つめて、リリスは頬杖をついた。

『え、何か嫌なことされた？』

「それがねぇ…誘ったけど、全～然ダメだったのよ」

リリスの言葉に、Aは顔をひきつらせる。

『そ、そうなんだ～』

"何のお誘いか"はあえて聞かなかった。

「あら、リリスでもダメなの？珍しいわねぇ～」と、妲己も頬杖をつく。

「A様は彼のこと、何とも思ってないの？」

「それ、私も気になってたのよねぇ～実際のとこ、どうなの？」

『どうって……ムカつくいけ好かない闇鬼神だとは思ってるけど』

リリスと妲己の両方から問われて、Aは『あと極力関わりたくない』と呟いた。

「んー、そうじゃなくて…恋愛的な意味でよ」

『は！？』
恋愛！？ないないない絶対に無い！！

突然出てきたワードに目を剥くと、首を振って全力で否定する。

「そうなの？じゃあアタシ、本格的に狙っちゃおうかしら」

『えっ…』

リリスが妖しく微笑んだのを見て、Aは思わず動揺した。

「あら、やっぱり気になる？」

『いや別にアイツが誰とどうなろうが、ボクには関係ないしっ』

「ふふ、冗談よ、冗談」

──さて、そんなやり取りをしている女性陣3人を部屋の隅から眺めていた鬼灯だったが…

困ったことに、
「……全部聞こえてるんですよね…」とボソッと呟いてため息をつく。
同じ室内に居るのだから当たり前といえば当たり前なのだった。