【鬼灯の冷徹】短編集其ノ三【成り代わり】 (ページ3)

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女神獣様と2人の悪女③ ページ3

自己紹介も終えたし…と、リリスを自分のお店に案内する前に、Aは先程から疑問に思っていたことを彼女に聞いてみた。

『リリスちゃん、1つ聞いていい？なんでコイツと一緒なの？』

"コイツ"、とAは鬼灯とは目を合わせずに、リリスの隣にいる彼を指さす。

「せっかく観光に来たから…八大地獄をね、鬼灯様に案内して頂いてたのよ」

ニコニコと答えるリリスに「ねー！」と同意を求められて、鬼灯は平然とした様子で「はい」と返事をしている。

『ふーん…』

そこで初めてAは、そんな彼をジロリと睨んだ。

『…随分と楽しそうジャン』

「ええまあ」

『………』

またもや平然と返されて、Aは少しムッとする。

『(……なんか、ムカつく。腕まで組んじゃってさ……ま、いいか。コイツのことは放っておこう)』

気を取り直してリリスに『案内するヨ』と笑顔で声をかけて、一行は極楽満月へと向かったのだった。

『2人ともどうぞ～！あっ、お茶入れ直すね！』

極楽満月の店内に妲己とリリスの"2人"を迎え入れて、Aは再度お茶の準備をはじめた。
鬼灯のことは完全に無視していたのだが、彼もちゃっかり椅子に座っている。

『いやお前はお呼びじゃないんだけど』

お茶を入れて戻って来たAが、『何当たり前のように座ってんの？』と鬼灯を睨んだ。

「リリスさんの付き添いですから、一応」

『あっそ…』

しれっと返してきた鬼灯に対して素っ気なく答えると、仕方なく…といった感じで彼の分のお茶も用意する。

妲己とリリスも居る手前、さすがにお茶を出さないのは感じ悪いか…と思ったのだ。

『(……こんなんでも、一応お客様だし。桃タロー君が居たら相手を任せちゃえるんだけどなー…)』

小さくため息をつくと、店内を興味深そうに眺めているリリスの目の前に座る。

「すごいわねぇ…これ全部薬の材料？」

『是的(そうだよ)！この材料を、乾燥させたり加工したのがこっちの棚に入ってる生薬で…その生薬をいくつか組み合わせたのが漢方薬』

「アタシ、東洋の漢方薬って興味あるわ」

「A様、その人の体質に合わせて処方してくれるからオススメよぉ～」

妲己にもオススメしてもらえて、『お困りならなんでも相談に乗るヨ』とAはリリスに微笑みかけた。

『例えば女性に多い"冷え症"に効く漢方とかどう？』と提案してみる。

漢方薬の説明を始めて数分後──
話題はいつの間にかガールズトークに発展していたのだった。