【鬼灯の冷徹】短編集其ノ三【成り代わり】 (ページ2)

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女神獣様と2人の悪女② ページ2

「働き者のお弟子さんが居ていいわねぇ～」

『うん。おかげですごく助かってるヨ』

「ウチの檎(ゴン)と交換しない？」

『えー？いくら妲己ちゃんの頼みでも、桃タロー君はダメ』

「あら残念」

なんて会話が成されていたことを、当の桃太郎は知る由もなかった。

しばらくして、
妲己のスマホに件の友人から連絡が来たらしく、「あ、仙桃農園の入口に着いたみたい。ここ広いし、アタシ迎えに行ってくるわ」と立ち上がった彼女に続き、Aも『ボクも行く！』と手を挙げた。

さて、そんな2人が仙桃農園の入口へと向かっている一方で、
妲己の友人であるリリスは、閻魔大王第一補佐官の鬼灯と一緒に、この農園がある桃源郷を訪れていた。

「リリスー！」

「妲己、久しぶりー！」

道の先から手を振って駆け寄ってくる妲己を見つけて、リリスも大きく手を振る。

妲己の後ろに白衣を着た女性が居るのを見て、「なるほど、あの人ねぇ」と、チラッと隣の(というか腕を組んでくっついている)鬼灯に目線を向けた。

ここに来る前、少しだけ彼女…Aの話を聞いて、ついでに色々察したのだった。

当の鬼灯は、特に変わった様子もなく、こちらに歩いてくるAを見つめている。

一方のAは、リリスと呼ばれた人物の隣に、見知った…けれど出会いたくなかった鬼神を見つけて、思いっきり顔をしかめていた。

『げっ…』
なんでアイツ(鬼灯)が居るのさ！？

バッチリ目が合ってしまったので、慌てて逸らす。

以前、衆合地獄の花街にある飲み屋で深酒をして、彼の肩を借りて寝てしまったことがあり、それ以来余計に顔を合わせづらくなっていたのだ。

「A様、私の友人のリリスよ」

妲己にそう紹介されて、Aはリリスのほうに向き直った。
すぐ隣に居る鬼灯のことはとりあえず無視である。

「初めまして。貴女がA様ね？妲己から話は聞いてるわ」

『你好(こんにちは)！よろしくネ。リリスちゃん』

ニコニコと挨拶をして、『(……というか、リリスって確か…)』と目の前にいる金髪の美女を見つめる。

リリスといえば、アダムの最初の妻だったが"とある事"がきっかけで大喧嘩し、エデンの園を飛び出して、その後数多くの悪魔と結婚し…という経歴を持つ女悪魔である。

『さすが妲己ちゃんのお友達……』

類は友を呼ぶんだな…と、Aは思わず呟いた。