【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ8)

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レディはショッピングがお好き⑧ ページ8

「「A様、ごきげんよう」」

『あっ、すみません挨拶もろくにせずっ…！？』

にこやかにリリスと妲己から挨拶されて、慌てて謝罪したAは思わず固まった。
リリスに正面から両手を握られて、妲己には背後から両肩に手を置かれたからである。

『あ、あの、リリスさん？妲己さん？』
なんか、嫌な予感が…

と、Aは冷や汗をかいてたじろいだ。

「ねぇ、A様。殿方は放っておいて…」

「一緒にお買い物しましょう？」

悪女2人にそう囁かれて、

『え、いやあの私は…お香ちゃんの付き添いで来ただけなので…』
すっかり忘れてたけど、これでも仕事中ですし…っ

以前、着せ替え人形にさせられて大変な思いをしたAは、その場から逃げようとした。

「しかし、逃げられない！」

『鬼灯君！悠長に解説しないでよっ』
誰に解説してるの！？というか助けて！

Aは、自分のそばで今の状況を淡々と解説している鬼灯に向かって叫ぶ。

「リリスさん妲己さん相手じゃ無理ですよ。私が言っても、お2人共聞かないでしょう？」

ストップかけて素直に聞いて下さるようなら苦労しませんよ…貴女に危害が加わるようなら話は別ですが。

鬼灯にそう言われてしまい、Aは両側を悪女2人に挟まれたまま嘆いた。

『そんなぁ～』

「あら、アタシたちとお買い物するのがそんなに嫌かしら」

「せっかくA様とお買い物できると思ったのにねぇ～」

左右にいるリリスと妲己に残念そうに言われて、

『う……い、嫌とかじゃないんですけど…』

Aは口ごもる。
そして、近くで一部始終をずっと見ていたお香と目が合って声をかけた。

『お香ちゃんっ…一緒に来てくださいっ』

「えっ！？アタシですか？」

いいのかしら…？と首を傾げたお香に、

「あら、いいわよ。女性同士、皆で行きましょう」

リリスは微笑むと、Aと腕を組んで歩き出した。

ちなみに、反対側は妲己が同じくがっちり腕を組んでいるので、何だか連行される人みたいな状態になっている。

残された男性陣は、そんなAの様子を見て、「蜘蛛の巣に囚われた蝶々みたいだな…」と思っていた。

「「(……気まずい)」」

ベルゼブブも白澤も、いたたまれなくて視線をさ迷わせる。

ベルゼブブとしては、自分の妻の愛人的な神獣と、それを紹介した鬼神に挟まれているし、
白澤も、まさかこんな所でリリスの旦那に出会うとは思っていなかったし、そりゃあ気まずくもなるだろう。