レディはショッピングがお好き�� ページ6
一方、下に転がり落ちた鬼灯は、
「私より、妲己さんに挨拶したほうがいいですよ」
と、ぶつけた頭を押さえながらベルゼブブに向かって言った。
「アナタ〜この人、友達の妲己よ」
「あ、何だ、そうなのか。こちらは旦那様か？」
ベルゼブブはそう言うと、妲己の隣に居る白澤に挨拶しようとする。
「あ、イヤ僕は……あの、もしかしてベルゼブブさん？」
「そうです」
「…奥さん綺麗ですね〜〜」
なんて言いつつ、白澤は目の前のベルゼブブから目を逸らした。
白澤的にはめちゃくちゃ気まずい状態である。
と、そこに、下りのエスカレーターから降りてきたAとお香が駆け寄って来る。
『鬼灯君、大丈夫だった？』
「ええまあ…」
怪我してない？と、心配そうに見上げてきたAを見て、声にこそ出さなかったものの、鬼灯は「私の嫁が1番可愛い」なんて思っていた。
「ああ、閻魔様、先程は失礼致しました」
『あ、いえ！お久しぶりです、ベルゼブブさん』
「Aちゃんもお香ちゃんも来てたんだね〜」
『白澤君もこんにちは』
ベルゼブブと白澤、それぞれから声をかけられたAは律儀に挨拶を返している。
「……だから関わりたくなかったのに…」
ボソリと呟いた鬼灯は、Aとお香に向かってへらへらしている白澤が内心「(このまま、なんとか誤魔化したい…！)」と思っているのがわかって、改めてベルゼブブに彼を紹介してあげることにした。
「まぁ、強いて申し上げるならその男は、以前私が夫人に紹介した間男です」
「強いて申し上げなくていい！ていうかオマエかコノヤロウ！！」
そう紹介されて、ベルゼブブは「しかも
鬼灯の口から出た「間男」という言葉の意味を数秒考えて、Aも慌てたように叫ぶ。
『いつの間に！？鬼灯君、何してるのっ…！！』
旦那さんが居るのに他の男の人を紹介するなんてっ…
しかもEU地獄No.2のベルゼブブさんの奥様なのに！
衝撃的すぎて、Aは頭を抱えた。
「いえ、EU地獄との関係を良好に保つにはこれが最善かと思いまして」
実は、リリスさんが初めて観光に訪れた際に紹介していたんですよね。
と、特に悪びれもせず言ってのけた鬼灯を見て、Aは大きくため息をついたのだった。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
