オシャレは人それぞれ�� ページ49
「あーーっ！何ーッ！？ロール巻いたのーッ！？」
突然大きな声が聞こえてきて、何事かと一同はそちらを振り向いた。
「そう！いいでしょ〜」
「うん！かわい〜い！」
「角もカラーリングしたんだ〜」
2人の女性獄卒がアレンジした髪型と角について楽しそうに話している。
数年前に現世でもかなり流行していた「盛り髪」というやつだ。
その名の通り、髪の毛が盛りに盛られて、簪やら髪飾りがゴテゴテくっついており、角に至ってはピンクでキラキラしている。
髪型の話をしていたせいか、思わず全員で見つめてしまった。
「女って…楽しそうだよな…」
「アレ、何ていう前衛アートだろ」
「派手…っすね」
「すげー！！」
「亡者をビビらせるのに最適でいいと思います」
『ま、まあ、オシャレは人それぞれだから…』
上から、蓬、葱、唐瓜、茄子、鬼灯、Aの順である。
「そういやさァ、今若い鬼女の間で「魔女盛り」ってのが流行ってるらしいよ」
「へえ…確かに人間でも派手めの女子は基本盛るよな」
葱と蓬が最近の流行について話し始める。
「魔女盛り」というのは、
盛り髪にカボチャ風のおだんごをつくり、小さな箒を差したり、黒猫やコウモリの羽を模した飾りをつけたり、カラスの羽をつけたりするらしい。
小悪魔感が売りなんだとか。
ちなみに現世にも、生花や造花、ティアラや風船、人形をくっつけたり、ケモ耳をつけたり、リボンを編み込んだり…と色々アレンジされた盛り髪がある。
なんかもうアレはとにかく存在感が凄い。
『リリスさんあたりが関わってそうだね…』
Aは、最近何かと関わることが多くなったリリスを思い浮かべた。
「昔から、流行の先端にいる女性は髪型がこんもりしてますよね」
「ロココ時代とかもそうだなぁ」
鬼灯の言葉に皆、吉原の花魁や、ロココ時代を生きたマリーアントワネット等を思い浮かべる。
「俺はもっと清楚なほうが好きだなぁ」
それこそ、A様みたいな…
葱がボソッと呟いてチラリとAのほうを見ると、彼女の隣に居る鬼灯に思い切り睨まれた。
「私のAに何か？」といった感じである。
「(いやあのそういうんじゃないんでホント…すみませんでした)」
慌てて目線を戻して心の中で謝罪する。
「やっぱり怖いな鬼灯様…」と若干青ざめている葱に、蓬は「アイツ昔からあんな感じだよ…」と苦笑したのだった。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
