オシャレは人それぞれ�� ページ47
鬼灯自身も、Aに毎朝手伝ってもらって髪型を整えるのは別に嫌じゃないのだが、大型ネコ科のような扱いを受けているとは知らなかったらしく、少しムッとして一度箸を置くと、まだくすくす笑っている隣の彼女のおでこに軽くデコピンをかました。
勿論、怪力の鬼灯にしてはめちゃくちゃ軽く、である。
『あいたっ！？な、なんでデコピンしたの！？』
一方のAは突然デコピンされて、おでこを押さえて目を白黒させた。
そんな彼女をスルーして、鬼灯は唐瓜と茄子、それから蓬に問いかける。
「クセ毛のほうが案外決まりやすくないですか？」
『鬼灯君っ、無視はよくないです！』
「はいはい」
Aに袖を掴まれて鬼灯は横を向くと、「失礼しました」と若干赤くなっている彼女のおでこを撫でた。
いやまあ自分がデコピンしたのだけれど。
「(まーたイチャついてるよあの夫婦は…)」
そんなやり取りをぼんやりと眺めていた蓬の視界に、ぬっと木のようなものが現れた。
いや、正確には木ではなく髪の毛である。
「いやァ、やっぱ天パは面倒ですよ」
そこには、モサモサ天然パーマの鬼が1人。
「……どうも」
突然現れたとんでもない髪型の獄卒に、蓬は若干引き気味に挨拶してしまった。
「どうも、経理課の
軽く自己紹介をしてきた葱を見て、
「「(…この木なんの木のあの木みたい……)」」
唐瓜と茄子は2人揃って失礼なことを思っていた。
ちなみに、某CMでおなじみの"この木なんの木"は、「モンキーポッド」という名前の木で、別名「レインツリー」や「アメリカネムノキ」と呼ばれる、ハワイのオアフ島にある大樹である。
「男の鬼って特に天パキツイですよね」
そのまま食卓の輪に入ってきた葱が呟く。
「…まァ、人間でも物凄い天パを私は知ってますけど……」
そんな葱のモサモサ頭を横目でチラリと見て、鬼灯はとある人物を頭に思い浮かべた。
『小野
鬼灯が言っているのが誰かすぐわかって、Aも秦広王の補佐官を務めている小野篁の顔を思い浮かべる。
想像の中でも「いえーい」とピースしてくるあたりが篁らしい。
「いやでも櫛は通るでしょ？鬼ってプラスすっごい剛毛なんスもん」
という葱の言葉に、「あー確かに」と同じく天パの蓬も頷いた。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
