【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ38)

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豆とカカオとチョコレート③ ページ38

その場に居る全員が同じことを思ったけれど、口に出せるはずもなく…

そんな彼らなどお構いなしに、鬼灯は頭を悩ませていた。

「節分への不満とバレンタインの浮つきとで、2月は皆さん仕事の出来が悪いんですよね」

さて、どうしたものか……

「…いや、いっそのこと…」

ふと、何か思いついたらしい鬼灯は、とりあえずAに相談しようと彼女の元へ向かったのだった。

───場面は変わり、閻魔殿の夫婦部屋にて。

「という訳で、節分とバレンタインの合同イベントを開催しようかと思っています」
室内で広い場所を使用したいので、閻魔殿の法廷をお借りしても良いですか？

という鬼灯の提案と伺いに、AはすぐさまOKを出した。

『へぇ～、楽しそう！うん。いいよ～』

そういえば、節分やバレンタインってあんまりちゃんとイベントとして開催したことなかったなぁ…
なんて思って彼女はニッコリ微笑むと、せっかくのイベントだし！と両手を合わせて言った。

『あ！ねぇねぇ鬼灯君、私も参加していい？』

「ダメです」

『なんで！？』
今の会話の流れだと、私も参加していいのかと思ったのにっ…

即答でダメだと言われて、Aは困惑して目の前に座る鬼灯を見つめた。

「ただでさえ、毎年貴女にチョコを渡そうとする輩(男)がいるのに…渡す機会を作ることになりかねないので」

『え？そうかな？』
私、バレンタインに男性から貰ったことないよ？

自分の言葉に首を傾げる彼女に対し鬼灯は、

「…それは…」
私が全力で阻止しているからですよ…！！

とは言えなかった。

主に、どこぞの白い神獣とか。

「貰えないんなら、逆にあげても良いよね～？海外じゃ男性から女性に贈り物するのが主流だし～」とか言って毎年懲りずに来るのを、密かに追い払っているのだ。

ちなみにホワイトデーも同様である。

『でも、私だけ参加できないのは、ちょっと寂しいな…』
鬼灯君、やっぱりダメ？

「……」

控えめに袖を引かれ上目遣いで言われて、言葉に詰まる。

「(リリスさんの入れ知恵ですかね…)」

まあ、彼女の場合、かの悪女の入れ知恵がなくとも、昔から無自覚にやっていたりするのだが。

鬼灯はため息をつくと、条件を出した。

「…わかりました。主催者側としてでしたら良いですよ。私の隣にちゃんと居て下さいね」

『うん！』

嬉しそうに微笑んだAの頭をポンポン撫でると、鬼灯は「さて、色々用意しなければ」と早速準備に取り掛かったのだった。