【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ36)

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豆とカカオとチョコレートページ36

※イワ姫も登場させたかったんですが、お話の都合上カットしました。
ごめんイワ姫…
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2月。如月。

1年の中で、1番日数が短い月である。
理由は古代ローマに作られた暦まで遡り……まあ、簡単に言うと、大昔の人が2月で日数の調整をしたのである。

閏年も、季節のズレを調節するために「閏月」が設けられている。

さて、そんな2月には、有名で代表的なイベントが2つほどあるのだが───

2月のお知らせの掲示物、更にはアイドルのピーチ・マキのセカンドシングル「甘ったるチョコレート♡」の宣伝ポスターを前にして、1人の獄卒がポツリと呟いた。

「…2月は嫌いだ…… 」

「…バレンタインがあるからですか～？」

その呟きを拾った唐瓜が、なんとなく察して声をかける。

「…そんな浮ついた理由じゃねぇ」

「え～～先輩ヒガミっぽいっすよ」

(唐瓜にとっては)先輩獄卒のイラついた雰囲気に、「まあ気持ちはわかりますけど…」と茶化したのだが、彼の怒りどころはそこではなかったらしい。

「人間が節分なんてムカつく行事するからDEATH！！」

「ああああそういうこと！？」

そう。彼は2月の代表的な行事、バレンタイン…というよりは、節分に対して怒っていたのである。

「畜生、鬼を何だと思ってんだ」
「豆をぶつけるなんて意味わかんねえ！」
「俺ら、豆普通に食べるしね！？」

醤油も納豆も味噌も豆腐も食べるぞ！？
きな粉も美味いし。
ありがとう大豆！！

周りにいた他の獄卒たちも、口を揃えて叫んだ。

「「「あとバレンタインは普通にムカつく！！」」」

そんな彼らのそばをちょうど通りかかった鬼灯が、呆れたように声をかけた。

「…現世の行事くらい別にいいでしょう」

「あ、鬼灯様」
お疲れ様です！と唐瓜が挨拶し、いつもの様に一緒に居た茄子も同じくぺこりと頭を下げる。

「直接被害を被るわけでもないですし」

鬼灯の言葉に、獄卒たちは悔しそうに言った。

「だって、鬼が病を持ち込むと思ってんスよあいつら……心外です！」

「現世の人は「鬼」を「何やら恐ろしい邪神」という広い意味で使ってるんですよ」

鬼＝地獄の獄卒ではなく、昔の人は季節の変わり目に起こる病気や災害を鬼に見立てて、それを追い払うための儀式として「節分」という行事を行なってきたのだ。

「豆だって単に「魔滅」から来ているそうですし。ただのお祭りですよ」

気にしなきゃいいんです。と言ってのけた鬼灯に、獄卒たちは渋々頷いたのだった。