謹賀新年�� ページ34
「という訳で、モノを贈るのは別に間違いではないんですよ」
そう言って話を締めくくった鬼灯を見てAは、
『鬼灯君てやっぱり物知りだよなぁ〜…そんな理由でガラス玉あげるとこも彼らしいけど』なんて思って微笑んだ。
一方の一子と二子は、誤魔化された気がして微妙な顔をするかと思いきや、
「大きいビー玉…」
「すごい…」
と何やら感動している。
『ところで、あれどうしたの？』
双子が握っているガラス玉を見て、Aは鬼灯に聞いてみた。
「この前大掃除をした際に出てきたんです。恐らく、沖縄あたりに視察に行った時のお土産ですね」
『ああ〜！ちゅら玉みたいな？』
ちゅら玉とは沖縄ではよく見かける、琉球ガラスを使った浮き球モチーフのお土産であり、アクセサリーやストラップになっているものが多い。
一子と二子が貰ったのは、サイズ的には違うかもしれないが綺麗な海の色をしているガラス玉だった。
一子が貰ったほうがコバルトブルー。
二子が貰ったほうがアクアブルーで、光にかざすとまた違った色合いに見えるらしく、
「キレイ…！」
「海みたい…！」
と2人とも(相変わらず表情が乏しいが)ガラス玉を覗いては感動しているように見える。
「ホラ、喜んでますよ」
『良かったね、2人とも』
「「うん」」
あげた相手が喜んでいるなら、結果オーライというやつだろう。
『よーし！じゃあ初詣に行って、仲見世でお煎餅とかきびだんごとか食べよう！』
「「わーい」」
Aの掛け声に、双子は500円玉とガラス玉を大事に巾着袋にしまってからそれぞれ彼女と手を繋いだ。
一子が右側、二子が左側である。
「初詣というか、そっちが目当てですか」
Aと手を繋ぎそこねた鬼灯が、若干恨めしそうに一子と二子見て言った。
『そ、そんなことないよ！？』
慌てて否定した彼女は、『でも、あの辺美味しいものいっぱいあるんだよね…』と独りごちる。
どうやら、向かう先は東京浅草にある浅草寺らしい。
『行ってくるねー！』
双子と両手を繋いで歩き出したAと、その後ろをついて行く鬼灯に、シロが「いってらっしゃーい」と声をかけて見送った。
「どう見ても親子だな」
「そうだな」
遠ざかっていく4人の背中を眺めて、柿助とルリオはそんなことを思ったのだった。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
