【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ33)

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謹賀新年③ ページ33

「「あ！」」

シロをモフモフ、わしゃわしゃ撫でていた一子と二子が、突然思い出したように揃って声をあげた。

「「鬼灯パパ」」

以前からおままごとのパパ、ママの呼称は続いているようで、双子はいまだにAを抱きしめている状態の鬼灯に向かって手を差し出して言った。

「お年玉下さい」
「下さいー」

突然のお年玉催促に、鬼灯は一瞬まばたきをすると、自分に向かって差し出されている一子と二子の手のひらを交互に見つめて、それから目の前のAを見つめた。

「Aママはピカピカの500円玉くれた」
「キレイなのくれた」

キラキラー！と2人は貰った500円玉をポチ袋から出して掲げている。

「A、」

『お正月だから、ね？』

また、「甘やかして」って言われちゃうかな～なんて思ったAは笑顔で首を傾げる。

対する鬼灯は小さくため息をつくと、Aから離れて懐から何やら取り出した。

『(あ、鬼灯君もちゃんと準備してたんだ)』

「……2人とも、落とさないようにちゃんとキャッチして下さいね」

『ん？』

Aがまさか…と思って近くで見ていると、鬼灯は取り出したゴルフボールくらい大きなサイズのガラス玉を、上から落として双子に握らせていた。

「落とし玉(おとしだま)です」

『鬼灯君…そんなベタなギャグみたいな…』

「めっちゃベタっすね…」

一部始終を見ていたルリオも同じようにツッコミを入れた。

「そもそもお年玉というのは、正月に歳神を迎えるためにお供えされた丸い鏡餅が「御歳魂(おとしだま)」と呼ばれていて、それを松明け後に家族に分け与えていたのが起源とされているんですよ」
※諸説あります。

「ほえー、じゃあ元々はお金じゃなかったんだね！」

鬼灯の説明に、「お餅だったんだ～」とシロが感心したように呟いた。

「はい。お年玉の習慣は中世にまでさかのぼると…それこそ、桃太郎さんが居た室町時代あたりでは、新年に太刀や硯等の品物を贈り合っていたとか」

「えっ、そうなんだ！知らなかったや…」

「まあ、俺たちにはお年玉の習慣って馴染みがないもんな」

「貰えんなら食べ物ほうがありがたいしな」

驚いているシロの隣で、柿助もルリオも呟いた。

「江戸時代には、武士は太刀、町人は扇、医者は丸薬を贈っていたそうです。現代のように現金を渡すのが一般的になったのは昭和30年代以降だとされています」

「意外と最近なんだね！？」

思わぬお年玉の事実に、シロはまた驚いたのだった。