謹賀新年�� ページ32
そんな様子を見たシロが、
「童子ちゃんたちも一緒にどっか行くの？」
お出かけ？と首を傾げる。
「はい。これから初詣に行こうかと思いまして」
年末に約束しましたしね。と、鬼灯が呟いた。
『シロ君たちもお出かけ？』
「うん！半休もらったから、桃太郎に新年の挨拶しに行こうと思って」
Aの問いに答えたシロは、「地獄のお正月は忙しいんだと思ってたよ！」と続ける。
「まあ、暇ではありませんが…午後に半休与える余裕くらいはありますよ。皆さん、実家に帰ったり挨拶回りしたいでしょうし」
人員不足がわりと解消されたおかげもありますが。
『お正月から働き詰めっていうのも、しんどいもんね…』
三が日くらいはゆっくりしたいよね…難しいけど。
と、鬼灯に続いてAは苦笑した。
かく言う彼女たちも、地獄のトップとNo.2なので基本は閻魔庁に居なければならないのだが、今日は少しの間だけ代わってもらって初詣に行くのである。
正月は正月で何かと忙しいのが地獄なのだ。
シロたちが桃太郎のところに挨拶に行くというのを聞いて、
『私も、白澤君に挨拶しに行かなきゃだなぁ〜』と呟いたAにすかさず鬼灯が返した。
「行かなくて良いです」
『そういう訳にもいかないよ。一応、桃源郷の取引先様なわけだし』
「ならば向こうが挨拶しに来るのが礼儀でしょう。まあ貴女には絶対に会わせませんが」
桃太郎さんは良いとしても、
『鬼灯君、それだと挨拶の意味が…』
新年早々
という表情をしている鬼灯を見て、Aは困ったように眉尻を下げた。
『(今年も2人には色々ありそうだな…)』
小さくため息をついて、険しい表情をしている目の前の彼を見つめると、
『これから初詣に行くんだから、そんな怖い顔しないの』と両手を伸ばして頬っぺたを包む。
「A、」
『なあに？』
「……いえ、何でもないです」
首を傾げたAに、何でもないと答えつつも、鬼灯は彼女をギュッと抱きしめた。
『そう？』
対するAも、されるがままになっている。
そんな夫婦2人を見て、
待つのに飽きてきてシロをモフりはじめていた一子と二子が、
「新年早々らぶらぶだね」
「うん。らぶらぶだね」
と呟くと、その後ろで柿助とルリオもうんうん頷いたのだった。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
