冬至にクリスマスに大掃除�� ページ30
観覧車から降りて、Aは赤くなった頬を押さえながら息をつくと、「まだ観覧車もう一周行ける」と思ってそうな鬼灯に声をかけた。
『ほら、そろそろチキンとケーキ買って帰らないと、一子ちゃんと二子ちゃんに怒られちゃうよ』
「…もうそんな時間ですか」
少し名残惜しそうに呟いた彼に微笑みかける。
『改めて、今日はありがとう』
「こちらこそ、ありがとうございました。帰ったら、クリスマスらしくチキンとケーキを食べましょう」
『うん』
「それから、冬至の風習らしく一緒に柚子湯に入りましょうか」
『うん…そうだね……ん？』
今、一緒に柚子湯に入ろうって言われたような？
首を傾げたAに、鬼灯は再度告げる。
「言いました」
『お、お風呂は別々でも良いんじゃないかなっ』
「何故ですか？大浴場なら皆で入れますよ」
な、何故って…とAは言い淀むと、視線をさ迷わせた。
『確かに閻魔殿の大浴場は広いけど…私はほら、一子ちゃん、二子ちゃんと入るし…』
「先程、言質取りましたよ」
『さっきのは流れで頷いちゃっただけで…』
「私だけ除け者ですか…寂しいです」
鬼灯に残念そうに言われて、Aはぐっと言葉に詰まった。
『ゔ…そ、そんなつもりじゃ…』
鬼灯君、絶対わかってて言ってる…
別にダメじゃないけど…せっかくの柚子湯だし…
じーっとコチラを見つめてくる鬼灯と目が合って、
『もう、しょうがないなぁ〜…』とAは苦笑する。
じゃあ、チキンとケーキ買いに行って…柚子は今日の残りが閻魔殿にあるから…
と、そこまで考えて、
『ふふ。これじゃあ、クリスマスだか冬至なんだか、よくわかんないね』
Aは鬼灯に再度微笑みかけた。
「まだまだ大掃除が終わっていない場所もありますしね」
『…そうだった。明日からまた頑張らなきゃ…』
「仕事納めまでは仕方ありませんよ。正月は正月で忙しくなりますし…」
年末になっても、地獄はまだまだ忙しいのだ。
そしてそれは年始もである。
『来年も、良い年にしようね』
「はい」
2人は頷き合うと、
来年は、どんな
なんて思いながら、手を繋いで歩き出したのだった。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
