【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ27)

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冬至にクリスマスに大掃除⑪ ページ27

という訳で、現在夜の18時半頃。
Aと鬼灯は現世のとある遊園地を訪れていた。

『わ、綺麗～！！』

入口から既に光のアーチで作られたトンネルが続いていて、Aは思わず感嘆の声をあげる。
キラキラしすぎて、ちょっと目が眩んでしまったくらいだ。

『クリスマス近いのに、あんまり人がいないね？』

トンネルをくぐりながら、Aは周りを見て呟いた。
所々にカップルが居るけれど、すごく混雑している訳でもなく、各々がゆったり楽しめるくらいの人出である。

「混むのは当日なんでしょうか…」
まあ、これくらいのほうが歩きやすくて良いですが。

人が沢山いて揉みくちゃにされたり、はぐれたりするよりは全然いいと鬼灯は思った。

2人が最初に訪れたのは、イルミネーションの1箇所が大きなピアノの鍵盤のようになっているエリアだった。

『見て見て鬼灯君！ここ、足乗せると光るし音が鳴るよっ』

Aが上に乗ると、ちゃんとその鍵盤の音が鳴っているのがわかる。

「面白いですね」

どういう仕組みなんでしょうか？と考え始めた鬼灯は、

ドレミファミレド ♪

と、「かえるの合唱」を弾き始めた彼女を見て、声をかけた。

「A、はしゃぎ過ぎて転ばないで下さいよ」

『もう！子供じゃないんだから大丈夫だよ』

「(ああやって、何でも素直に楽しめるのが彼女の良いところでもありますが…)」

これは、一子と二子を連れてきていたら大変なことになっていただろうな…と、鬼灯はなんとなくそう思った。

次に進んだエリアは、所々道順に沿って球体のライトが置いてあるだけで、それ以外はほぼ真っ暗だった。

『なんでここは暗いのかな？』

「どうやら真ん中に立つみたいです」

入口で貰ったガイドマップをスマホのライトで照らしながら、鬼灯が地面を指さす。

『真ん中？この辺かな…』

うっすらと模様が入っている石畳の上に、2人して立ってみる。

すると、自分たちの足元から円を描くようにイルミネーションが点灯していき、パッと一気に周りが明るくなった。
周囲の建物にもプロジェクションマッピングが投影されて、雪の結晶がキラキラ輝いている。

『すごいっ、魔法みたい！』

「楽しそうで何よりです」

感動しているAを見て鬼灯は、無理矢理予定を入れた感じになってしまったけれど、連れて来て良かったと心底思ったのだった。