【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ25)

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冬至にクリスマスに大掃除⑨ ページ25

それからしばらくして、
本日予定していた分の大掃除を全て終えて、Aと鬼灯は一緒に閻魔殿に帰って来ていた。

中に入るや否や、

「A、帰って来て早々申し訳ありませんが、少し出かけませんか」と鬼灯に言われて、Aは首を傾げる。

『えっ！？今から？どこに？』

「現世です。寒いと思うので、なるべく暖かい格好をして下さい」

『現世…』

夕食前だから、買い物かな？と思っていた彼女は、予想外の答えにポカンと鬼灯を見上げた。

「クリスマスデートするって約束だったでしょう？なので、イルミネーションを見に行こうかと思いまして」

"クリスマスデート"と''イルミネーション''という言葉を聞いて、Aはパッと顔を輝かせる。

『うん！着替えてくるねっ』

と自室に向かおうとして、ビクッと廊下の扉の前で立ち止まった。
座敷童子の双子、一子と二子がドアの隙間からこちらを恨めしそうに見つめていたからだ。

「また2人でお出かけ…」
「鬼灯パパばっかり…」
「「ズルい…」」

その様子は、見慣れない人からしてみたら若干ホラーである。

『い、一子ちゃん、二子ちゃん…』
ちょっとビックリした…

先程Aからクリスマスブーツのお菓子を貰った一子と二子は、別に頼まれたわけではなかったけれど、そのお礼も兼ねて閻魔殿の長ーい廊下を2人で掃除していたのだ。

「そう言われましても、"2人で"デートする約束だったので」

キッパリとそう言い切った鬼灯に、ドアを開けた一子と二子はものすごく不満そうにふくれっ面をしてみせた。

「「むー…」」

そんな2人を見て、Aが慌てて声をかける。

『あ！じゃあ、お土産にチキンとクリスマスケーキ買ってきてあげるから…それじゃダメかな？』

「…チキン」
「ケーキ…」

『うん。クリスマスといえば(日本は)チキンが定番だし…ケーキは、イチゴのショートケーキとか…
あっ、今の時期ならブッシュドノエルもあると思うから、2人が好きそうなやつを買ってくるよ』

「イチゴ…」
「ぶっしゅどのえる…」

一子も二子も、テレビや雑誌で見たことがある木を模したケーキを思い浮かべる。

「クリスマスってすごいね」
「うん。すごい」

プレゼントも貰えて、チキンもケーキも食べれるなんて、座敷童子にとってはすごいことなのである。

『それから、柚子湯にも一緒に入ろう？』
やっぱり冬至には柚子湯が欠かせないもんね。

「「柚子湯…」」

Aからのお誘いに、2人はこくりと頷いたのだった。