【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ23)

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冬至にクリスマスに大掃除⑦ ページ23

『……渡しておいてなんだけど、それ、大掃除の邪魔になっちゃうよね…』
ついつい渡しちゃったけど、やっぱり帰ってからにすべきだったかも。

『私預かろうか？』と、今度は若干申し訳なさそうにしているAに、

「いえ、私も一度閻魔殿に戻ろうと思っていたので、一緒に行きましょう」

鬼灯は声をかけると、周りに居た獄卒たちに「後はよろしくお願いします」と伝えて、彼女の手を握って歩き出した。

『でも、賽の河原の掃除は？もう大丈夫なの？』

「はい。後はゴミを分別して捨てて頂くだけなので…
私はこの後、大釜掃除の指示を新卒の皆さんに出さないといけませんから」

『ああ、毎年恒例のやつ！』

地獄で使われている大釜を洗うのは、毎年新卒の仕事なのである。
そして、洗いたての釜で柚子湯を沸かすのだ。

ちなみに、その柚子湯に入るのは仕事の疲れを癒す獄卒…ではなく、釜茹での刑に処される亡者たちだったりする。
お湯は煮えたぎっているため、最早疲れを癒すとかそういうレベルじゃないのである。

勿論、獄卒たちは獄卒たちでちゃんと、毎年自宅や寮のお風呂で柚子湯を堪能している。

『そういえばこの柚子湯の刑って、鬼灯君考案だったよね？』
"柚子湯の刑"は私が命名したんだけど…

「はい。亡者たちも冬至を感じられて良いかと思いまして」

『うーん…冬至を感じる余裕あるかなぁ…』

確かに、柚子の良い香りは感じるかもしれないけど、熱湯の中にぶち込まれる亡者はたまったもんじゃないだろう。

とまあ、そんな会話をしながら2人は閻魔殿に戻ると、ちょうど庭で金魚草と睨めっこして遊んでいた座敷童子の双子、一子と二子に出くわした。

『あ、一子ちゃん、二子ちゃん！』

「Aママ…」
「サンタさんだ」

『うん。でも今日はサンタさんのお仕事はもう終わりなんだ～その前に2人にも、はい！メリークリスマス！』

後で渡そうと思っていた一子と二子のぶんのクリスマスブーツを2人に差し出して、Aはニッコリと微笑んだ。

「「わーい。お菓子ー」」

2人とも声は平坦だがかなり嬉しかったらしく、周りを走り回って、
「嬉しいのはわかりますが、転びますよ」と鬼灯に止められていた。

『じゃあ、着替えてくるね！』

「はい。ではまた後ほど」

着替えるため自室に向かって行ったAを見送って、鬼灯もプレゼントを自室に置きに行くと、大釜掃除の指示をするために出かけたのだった。