【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ21)

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冬至にクリスマスに大掃除⑤ ページ21

「とにかく、ゴミは散らかさないで下さいね」

と、鬼灯が念押しして賽の河原の掃除へ戻って行ったので、一旦逃げていた子供たちも、そろそろとAと地蔵菩薩の元に戻って来た。

そんな子供たちに、
「鬼灯殿は厳しいですが、悪い方ではないんですよ～」と地蔵菩薩が話しかけているのを見て、Aもうんうんと頷く。

『まだ貰ってない子は貰いに来てね～』と、
プレゼント配りを再開した2人のもとに、1人の女の子が歩み寄って尋ねた。

「閻魔様は、あの鬼のどこが好きなの？」

『えっ！？』

突然直球で聞かれて、Aは目をぱちくりさせる。

『ええと…改めて聞かれると…』

戸惑いつつも、『鬼灯君の好きなところかぁ～…』と彼女は考えを巡らせた。

優しいとことか、面倒見が良いとことか、金魚草のお世話してる時とか、発想が時々変な方向に行っちゃうところとか…

大食いなとことか、実は辛いものが苦手なとことか、寝顔が可愛いとことか、表情じゃわかりにくいけど意外と喜怒哀楽はっきりしてるところとか…

あげだしたらキリないなぁ～
でもそれも、他の誰でもない、鬼灯君だから…なんだけど。

とAは照れたように微笑んだ。

『ぜんぶ…じゃ欲張りかな？』

「えーっ、その答えはズルいよー！」

そんなやり取りをしているAと女の子を遠目で見ていた(地獄耳なので会話も聞こえた)鬼灯は、拾っていた空き缶(スチール缶)を思わず握り潰して頭を抱えた。

「鬼灯様、大丈夫ですか？」

「大丈夫ですなんでもありません」

近くでゴミ拾いを手伝っていた獄卒に心配そうに聞かれて、鬼灯は何事も無かったようにそう言うと、子供たちと楽しそうに会話しているAをチラリと見てから、掃除を再開した。

しばらくして、
無事に賽の河原にいる子供たち全員にプレゼントを配り終えたAは、

「私はもう少し、子供たちとお話してから戻ります～」
と言ってくれた地蔵菩薩に後を託して、着替えるために一度閻魔殿に戻ることにした。

『じゃあ、地蔵菩薩さん、後はよろしくお願いします。
皆もまたね～』

「はい～」
「閻魔様ありがとー！」
「メリークリスマス！」
「次はお年玉がいいなー」

子供たちとも手を振りあってその場を離れたAは、

『お年玉かぁ～…それこそ鬼灯君に「甘やかさない！」って言われそうだなぁ…』

なんて思って苦笑したのだった。