【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ3)

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レディはショッピングがお好き③ ページ3

「あら奥様こんにちは。そしておどきっ！」

「ああっ、よきママ友と思っていた奥様の本性が！！」

子供服売り場では、ママ友同士の争いが繰り広げられている。

「ミセス服売り場と子供服売り場は、根本のパワーが違いますね」

『う、うん、そうだね…』

冷静に分析している鬼灯を見て、Aは引き攣った笑みを浮かべて頷いた。

「客層によっても雰囲気が違うんですね」

混んでいても割と静かな店と、騒がしい店と色々あるようだ。

『うん…あ、芥子ちゃんだ』

とある店先に兎獄卒の芥子の姿を見つけて、Aは呟いた。

服を引っ張っていた芥子は、
「アンタこれ着ないでしょーが！」と言われても、
「巣に使うんですー」と、一歩も譲る気配がない。

『巣…！？』

バーゲン品の服を巣に使うなんて初めて聞いたけど、兎ならではなんだろうか…

首を傾げているAの視界に、これまた見知った顔が飛び込んできた。
地獄の門番でもある、牛頭と馬頭である。

「ごめんあそばせ！」
「ごめんあそばせ！」

と言いながら、普通に上から手(蹄)を伸ばしていた。

「牛頭馬頭さんは上から割り込んでますね」
アレは有りなんでしょうか？

『あ、あはは…』

もはや苦笑することしかできなくて、
Aは、『うーん…ここは、上司としてビシッと言わなきゃダメかな～…』なんて頭を悩ませていた。

周囲を見回した鬼灯は、ベンチに座ってぼんやりしている男性たちや、ルンバ的な掃除機を眺めたり、洗濯機の見本(中が見えるやつ)がぐるぐる回っているのを延々と眺めている男性たちを見て思った。

「(付き添いの旦那と彼氏は大体淀みきった目をしながら、空か動く家電を見ている…)」

彼らの役どころは大体が荷物持ち、現世だと車の運転役である。
なんとも虚しい感じが漂っている。

『待ってるだけってのも、疲れちゃうもんね…』

連れ回されるのも疲れるだろうけど…大変だなぁ～なんて、この時Aは他人事のように思っていたのだった。