【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ20)

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冬至にクリスマスに大掃除④ ページ20

『良い子のみんな〜メリークリスマス！』

賽の河原に到着するなりAはそう言って、今日もせっせと石を積み上げていた子供たちに声をかけた。

「閻魔様だー！！」
「サンタさんだー！！」
「プレゼントくれるのー！？」

サンタの格好をしているAを見て、子供たちが嬉しそうにわらわらと駆け寄ってくる。

「トナカイもいますよー」

Aの隣で、地蔵菩薩もニコニコと手を振った。

「わぁ！せ〇とくんだ！」

「(ああ、あえて言わないでおいたのに…)」

河原のゴミ拾いをしつつ、その様子を横目で見ながら、鬼灯はそんなことを思った。

『プレゼントは、ハロウィンの時と同じだけど…お菓子詰め合わせ(クリスマスver.)です！』

そう言ってAが袋から出したのは、一般的にはクリスマスブーツやサンタブーツと呼ばれているお菓子詰め合わせだった。
クリスマス時期によく見る、ブーツ型の入れ物にお菓子が沢山入っているやつである。

「「「わーい！！」」」

『皆のぶんちゃんと用意してあるから、喧嘩したらダメだよ？』

「1人1個ですよ～」

『食べたらちゃんと歯磨きもしてね～』

クリスマスブーツを受け取った子供たちは、さっそく開けてお菓子を食べ始めている。

『あ、ゴミはゴミ箱に捨ててね』とAが声をかけようとして…

「河原にゴミを捨てる悪い子はいませんか」

掃除スタイル(たすき掛けに尻端折りで頭に手ぬぐい)の鬼灯がぬっと現れたことにより、子供たちが一斉に逃げ出した。

「うわっ！？」
「黒いサンタだっ！！」
「散れっ！！」
「逃げろっ」

『(確かに、今の鬼灯君の格好、ブラックサンタっぽいかも…)』
さっきのセリフに、いつもの黒い服と担いでるゴミ袋がそれっぽい…

なんて思って、思わずAは笑みを浮かべる。

「何笑ってるんですか」

『ふふ、なんでもないよ。それよりも鬼灯君、また子供たちが怖がってるから…あんまり脅かさないの』

何やら不服そうな鬼灯に向かってそう言うと、Aは自分の後ろに隠れている子供たちを見つめた。

「掃除しているそばから散らかされては困りますから」

『皆良い子だから、そんなことしないよね？』

Aの言葉に、まだ鬼灯を怖がっている様子の子供たちは勢いよく頷く。

『(鬼灯君、こういうところ誤解されがちなんだよなぁ～…)
彼、本当は優しいんだよ』

「余計なこと言わなくて良いです」

『もう…』
本当のことなのにな。

とAは苦笑しながら、そんなことを思った。