冬至にクリスマスに大掃除�� ページ19
「ねぇねぇ、サンタさんって良い子にはプレゼントをあげて、悪い子たちは袋に入れて攫って行くんでしょ？…なんで？」
『えっと…後半のはブラックサンタだね…』
シロの質問にAは苦笑した。
「サンタクロースというのは、元々は聖ニコラウスという方が子供たちにお菓子を配り歩いたのが起源で、ブラックサンタはドイツを中心に伝わる伝承ですね。
悪い子供たちには、芋や石、石灰をプレゼントしたり、時に袋に入れて攫ったりするそうです」
「へぇー！」
「もっと酷いお仕置もあるらしいですが…まあ、それは良いでしょう。要するに、「悪いことをしたらバチが当たるぞ」という子供に対する教訓を兼ね備えています」
鬼灯の解説に、シロと地蔵菩薩が感心したように頷いた。
「さすが、鬼灯殿はお詳しいですね〜」
『日本で言う、"なまはげ" みたいな感じかな。子供にとっては、きっと怖い存在なんだろうね…』
なまはげさんたちも、本来は来訪神なんだけどね。
と、Aも補足する。
そこへ、
「おーい、シロ！急に走り出すなよ〜」
「A様、鬼灯様、お地蔵様も…シロが突然すんません！」
柿助とルリオが追いついてきた。
「今日は動物獄卒全員で、不喜処の大掃除だって言われたろ！」
「遅れると怒られるぞ」
「ごめんって〜！」
そんな会話を繰り広げながら、「失礼しますー！」と3匹は不喜処へと向かって行った。
桃太郎ブラザーズに向かって手を振りながら、Aはポツリと呟く。
『動物獄卒の皆は毛とか羽が抜けるから、毎年掃除が大変そうだよね…』
「まあ、大変なのは不喜処だけじゃないですけどね」
Aと鬼灯の言う通り、地獄の汚れはしつこいのである。
小地獄によっては、なかなか思い通りに掃除が進まない場所もあったりする。
『屋内ならまだしも、外は最新の清掃機器とか使えないしなぁ〜…結局、獄卒の皆に頑張ってもらうことになっちゃうんだよね』
「ああ、不喜処にルンバとか置いたらすぐ壊れそうですね。しかし、これも仕事のうちですから」
心機一転、新年を迎えるためにも、自ら掃除することは必要ですよ。
『新年かぁ〜…冬至とクリスマスが過ぎると、年末まであっという間な気がするのは何でなんだろ…』
「12月は師走ですからね〜」
ゆったり答える地蔵菩薩は、師走(僧侶が走り回る忙しさ)とは無縁そうに見える。
「さて、我々も行きましょうか」
鬼灯の言葉に、一行は再度目的地に向けて歩き出したのだった。
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
