【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ18)

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冬至にクリスマスに大掃除② ページ18

「それで、また賽の河原の子供たちに何か配りに行くんですか？」
前々から、甘やかしすぎはダメだと言っているのに …

お香が抱えて持ってきた白い袋を見つめて、鬼灯は小さくため息をついた。

『だって、せっかくのクリスマスだもん！』

ギュッと拳を握ったAの隣で、

「私とA様とで、お菓子を配ろうと思いまして～」

トナカイの角を頭に装着している地蔵菩薩がニコニコ顔で答えた。

……せ〇とくん……イヤイヤ。
奈良県のマスコットキャラクターが頭をよぎった鬼灯だったが、すぐさま首を振ってその考えを打ち消した。

「お2人で飴と鞭のはずが、これじゃ飴と飴ですよ」

勿論、本来は地蔵菩薩が飴で、閻魔大王が鞭の役割である。

「じゃあ、この場合は鬼灯様が鞭ね」
A様とお地蔵様が飴、鬼灯様が鞭でバランスが取れているから良いじゃないですか。

それまでやり取りを見守っていたお香が、そう言ってクスクス笑った。

「A、クリスマスも良いですが、地獄内の大掃除があることも忘れないで下さいね」
毎年早めに始めないと、年内に終わらないんですから。

『は～い』

鬼灯にそう言われてAは元気良く返事をすると、お菓子の入った袋を担いで地蔵菩薩と一緒に歩き出す。

「アタシも衆合地獄の大掃除に取り掛からなくちゃだわ～お先に失礼しますね」

と、お香も自分の持ち場へ向かって行った。

『大掃除と、それから柚子湯にも入らなきゃだね！』

「何だか盛り沢山ですねぇ～」

そう会話している2人の隣に、鬼灯も並んで歩き出す。

『あれ？鬼灯君も一緒に来るの？』

「ええ。というか元々、賽の河原の掃除から始めるつもりだったので、私も一緒に行きますよ」

そんな3人の前に、白いモフモフの毛玉…じゃなかった、犬獄卒のシロが元気よく駆け寄ってきた。
どうやら遠くからAと鬼灯の匂いを感じ取って、嬉しくなって走ってきたらしい。

「あっ、今日のA様、サンタさんだ！こんにちはっ！」
トナカイのお地蔵様もいるっ！

『こんにちはシロ君。これから不喜処のお掃除？』

「うん！！」

「いつも一緒の柿助さんとルリオさんはどうしたんですか？」

「あれっ？」

鬼灯の問いに、シロは慌てて後ろを振り返る。

「……置いてきちゃった」
まあ、いっか！！

シロは呑気にそう答えると、目の前のAをジーッと見つめて首を傾げた。