レディはショッピングがお好き�� ページ14
店の外で待機していた白澤と鬼灯が、聞こえてきた声に「コイツと同じに扱われるなんて心外だ」というようにお互いを睨んだ。
そんな2人の隣で、
「さすがリリス、俺の審美眼をわかってくれているな…！」と何故かベルゼブブは誇らしげにしている。
「(いや、ただ単に貴方のセンスに興味が無いだけでは…)」
と思った鬼灯だったが、言ったら言ったで面倒くさそうなので言わないでおいた。
「ねぇ、そこの御三方、A様にはどれが似合うと思う？」
黒いワンピースを掲げたリリスの問いかけに、男性陣(檎とスケープは含まない)がAと残りの4色を持っている妲己とお香のほうを見て言った。
「やはりクリムゾンレッド(深紅)じゃないか？」
「えー、紺色も可愛いよ」
「深緑一択ですね」
上から、ベルゼブブ、白澤、鬼灯の順である。
「というか、人の妻をあまりジロジロ見ないで下さい」
鬼灯に睨まれて、ベルゼブブが即座につっこんだ。
「お前本当に独占欲強いな！？」
「貴方に言われたくないです」
「なっ…！？俺はリリスの好きにさせてるぞっ」
「好きにさせてる結果がコレじゃないですか」
"コレ"と言って鬼灯が指さしたのは白澤だ。
「オイ人を指さすなよ紹介してきたのお前だろ」
いがみ合いを始めた3人をよそに、
「見事に意見が割れたわね」と妲己が呟いた。
「(トリオのお笑い芸人みたいだわ…)」
お香はお香で、男性陣3人のやり取りに「ふふっ…」と笑っている。
「A様はどう？」
こうなると、結局は本人が良いと思う色よねぇ〜…と、リリスは再度Aに向かって聞いてみた。
『えっと…鬼灯君が選んでくれた色にしようかな…なんて』
Aは照れくさそうにそう言うと、
『し、試着してくるねっ！』と深緑色のワンピース片手に試着室に入って行った。
そんな彼女の様子を見て、それから鬼灯のほうを見て、リリスと妲己はニヤニヤしている。
「「A様、やるわね〜」」
「…時々、ああやって無自覚に爆弾投下してくるんですよね」
心臓に悪いです…と呟いた鬼灯に、
「いやお前の心臓、鉄で出来てるだろ絶対！！」と思った白澤とベルゼブブだった。
──数分後、
『どうかな？変じゃない？』
ワンピースを着て試着室から出てきたAを見て、すかさず鬼灯が言った。
「買いましょう」
『即決！？』
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
