レディはショッピングがお好き�� ページ13
『あの…見るんなら普通のシンプルなワンピースとかで良いんでっ』
意気揚々と店内を歩いて行くリリスと妲己に両腕を引かれながら、Aは訴える。
あと、いい加減自分で何か選んで買わないと、この2人は解放してくれなさそうだ…とも思ったのだ。
ふと、とある店舗にディスプレイされている服を見て『あ、あれ可愛い…』と足を止める。
Aが足を止めたので、リリスも妲己も振り返ってくれた。
『これで良いですっ！というか、これが良いですっ』
自分が似合うかどうかはさておき…と、彼女が指さしたのは、ロングのパフスリーブブラウスとフレアスカートが一体型になったワンピースだった。
シンプルだが可愛らしいデザインで、ブラウスは白、スカート部分が色違いで黒、紺、紫、深緑、深紅の5色展開されている。
「「あら、いいじゃない！」」
リリスも妲己も、それから追いついてきたお香も賛同してくれたのでAはホッとした……のもつかの間、
「でも、色が悩みどころねぇ〜」
「もう全部買っちゃいましょ」
『全部！？』
お2人共、買い物の仕方がセレブすぎるよっ…
と、慌てて悪女2人にストップをかける。
『1着で十分です！』
「A様が気に入ったものを買うのが、1番だと思いますわ」
「あらそう？」
「迷ったら全部買うってのもアリだけど、A様がそう言うなら…」
お香も助け舟を出してくれて、リリスも妲己も一応納得すると、皆で色違いのワンピースを見比べ始めた。
「A様、ちょっとこれ持って立ってて下さるかしら」
『あ、はい！』
良かった…てっきり、「全部試着してみましょう」って言われるかと思った…
と、Aはリリスから深紅色のワンピースを受け取る。
「いつも着てる着物に近い色ってのも、芸がないわよねぇ〜」
基本的にAが普段仕事時に着ているのは、赤(紅)もしくは黒がベースのものが多い。
なので、「私服くらいは、違う色が良いわよねぇ…」とリリスは思ったのだった。
「それなら、男性の意見を聞いてみるのはどうかしら？」
というお香の提案に、妲己が悩ましげに首を傾げる。
「んー、でも、白澤様って私服のセンスは皆無なのよねぇ〜」
つまり、一言でいうなら"ダサい"のだ。
「ああ…そういえば、鬼灯様も独特のセンスをお持ちだわ」
提案者のお香もポツリと呟く。
一言でいうなら"変"なのだ。
『鬼灯君、確かに変なTシャツ色々持ってるけど、あれはあれで似合ってるよ？……白澤君は…うん…』
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
