レディはショッピングがお好き�� ページ12
「別に、今夜見せて頂いても良いんですよ？」
『っ…！？聞こえてたの！？』
歩み寄って来た鬼灯にそう囁かれて、Aはぎょっとして彼を見上げた。
「はい、筒抜けでしたよ」
『！？』
なんですと！？
先程の会話が最初から全て筒抜けだったことを知って、Aの顔がじわじわ赤くなる。
『(だって、鬼灯君に聞こえてたってことは、ベルゼブブさんにも白澤君にも聞こえてたってわけで…っ)』
「楽しみです」
はたから見たらわかりづらいが、機嫌が良さそうな鬼灯の言葉にAは頭を抱えて俯いた。
『……穴があったら入りたい…』
恥ずかしすぎる…と、羞恥心でしばらく顔をあげられなさそうな彼女をお香が慰めて、そしてまたもやリリスと妲己が「次よ次！」と連行していった。
やはり男性陣は置いてけぼりにされている。
「…お前案外わかりやすいよな」
「そうですか？」
ベルゼブブに言われて、鬼灯は首を傾げる。
「(さっきまで人の目玉抉り出そうとしてたクセに…後でAちゃんに言いつけてやる…)」
と、先程まで逃げ回っていた白澤は思った。
「イヤ、白澤の旦那…ワシらを盾にするのやめてくれん？」
鬼灯さん、容赦ないから怖いんじゃ…いやワシ的には妲己様のほうが怖いけども。
自分とスケープの後ろに隠れていた白澤に向かって、檎が言う。
「というか、まだ続くんですね…」
そろそろ止めたほうが良いのでは？と、リリスたちに連れ回されているAを見て、スケープは呟いたのだった。
さて、次に一行が訪れたのは、現世で流行しているファッションが集うエリアだった。
もっと簡単に言うと、現世の服が売っているエリアである。
基本、地獄で暮らす一般の鬼たちはあまり現世に行ったりしないのだが、
鬼灯みたいに直接視察に行く獄卒たちや、現世に出張して仕事をする鬼たち(妖怪とかも含む)、
アイドルのマキとミキみたいに現世リポートをする芸能人や、地獄で働いている亡者たちの為にあったりする。
「A様、現世に行く時はどうなさってるの？」
「現世デートしたりするでしょう？」
リリスと妲己に聞かれて、
『普段は、お香ちゃんが選んで持って来てくれるので…私自身、現世にそんなに行けないですし。デートはその、時々…』
実は自分で服を買いに来るって、あまりしたことないんですよね。
と、Aは照れながら呟いた。
「「ならちょうど良いじゃない！！」」
『(今更だけど、お2人の圧が強いっ……！！)』
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年12月15日 2時
