【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ五】 (ページ11)

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レディはショッピングがお好き⑪ ページ11

一方の女性陣、
こちらの声が聞こえるなら、勿論向こう側の声も聞こえてくるわけで…

『何か物騒な会話が聞こえたんだけど！？』

大丈夫かな…と心配するAをよそに、リリスと妲己とお香は彼女に似合いそうな下着を選ぶのに夢中になっていた。

「じゃあ、こっちのベビードールはどう？」

そう言ってリリスが差し出してきたのは、レースやリボンが控えめにあしらわれた可愛らしいサテン生地のベビードールだった。

「これなら透け感はあまり無いし、ルームウェアとしても着れるわよ」

「色が悩むわねぇ～…ここはやっぱりベビーピンクかしら」

「おパンツのデザインも可愛いですよっ」

『う、うん…』

3人の勢いに気圧されて、Aは思わずそれを受け取ってしまった。

目の前に掲げて、眺めてみる。
抱いた感想は、『確かに可愛いけど……寝てる時、お腹冷やしそうだな』だった。

色気もへったくれもないが、彼女の呟きを聞いていたお香にはツボだったらしい。
笑いを堪えながら、「A様らしいわね」と言われてしまった。

「じゃあ、これは私と妲己からのプレゼントってことで」

「買ってさしあげるわ、A様」

そう言うと2人はそそくさとレジに向かって行った。
リリスの手に握られているのは勿論、ベルゼブブのクレジットカードである。

『えっ…いやその…』

口を挟む余地もないままお会計が終わってしまい、渡された袋を手にして『こんなのいつ着れば！？』とAは慌てる。

「「ここぞって時の勝負下着よ！」」

ニンマリと微笑んだ悪女2人を目の前に、

『(恥ずかしくて着れる気がしない…)』と小さくため息をつく。

『(ここぞって時って…つまり、"そういう時"だよね……)』

ふと、そんなことを考えてしまって『わーっ！？何考えてるの私っ…今の無しっ！！』とAは頭を振って、赤くなった頬を押さえた。

「A、」

お店から出てきたと思ったら、何やら考え込んだ後に顔を赤くしている彼女に、鬼灯が声をかける。

『ひゃああ！？』

「……何故そこで驚くんですか」

『ほ、鬼灯君っ…ううん！なんでもないの』

Aは誤魔化しつつ微笑むと、手に持っていた袋を握りしめた。

「それ、買って頂いたんですね」

『う、うん』

自分が持っている袋を鬼灯に指さして言われて、Aはぎこちなく返事をする。

できれば何を買ったか聞かないで欲しい…と思っていたAだったが、そもそも会話が筒抜けだったのであまり意味は無かった。