【鬼灯の冷徹】地獄の閻魔様に成りました【其ノ四】 (ページ9)

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時には昔の話を⑨ ページ9

また別のとある日には、お客さんが訪れたこともあった。

「ただいま帰りまし「お邪魔しまーす！」……」

「お、お邪魔します…」

鬼灯の声を遮って元気な声と、控えめな声が聞こえてきて、本を読んでいたAは、おや？と顔をあげた。

『あれ？烏頭君と蓬君？』
鬼灯君のお友達の…と呟く。

一応、2人にも会ったことはあるので、彼女もちゃんと覚えていた。

「わ！本当にこの人と住んでるのか」

「烏頭、突然失礼だろっ」

驚いたようにAを見上げる烏頭に対して、蓬が「この方、噂の閻魔様だぞっ！」と注意をした。

実は黄泉の国…地獄では既に、Aはかなり有名な存在になっていた。

「だから失礼な態度を取るなんて、恐れ多いだろ！？
本当なら、俺らみたいのがこうしてお話するのも許されないかもしれないんだぞ！？」と蓬は思ったのだ。

当の本人は、全然気にした様子もなくニコニコしているけれど。

さて、何故、烏頭と蓬の2人がここに来たのかというと──

教え処にて、

「なー鬼灯…最近お前、洞窟に住むのやめたのか？」

「何ですか藪から棒に」

烏頭が突然、鬼灯にそんな話題を振ったのだ。

「俺の家とか蓬の家にも、あんま来なくなっただろ？いい住処でも見つけたんかと思ってさー」

「住処という言い方は少々違いますが…」

まあ、この2人になら話しても良いだろう…と、判断した鬼灯は、少し前からAと一緒に暮らしていることを説明したのだった。

「は！？前にお前が求婚した女の人と、一緒に暮らしてる！？」
それってあの閻魔様だろ！？

と蓬は目を白黒させた。

「お前…子供なのにやるな…」

ニヤリと笑った烏頭に、

「いや俺たち皆まだ子供だろ」

すかさず蓬がツッコミを入れる。

「なぁなぁ！今日お前ん家行ってもいいか？」

案の定、烏頭にそう言われて、前言撤回。やっぱり話さなければ良かった…と鬼灯は眉間にシワを寄せる。

「嫌です」

「なんでだよっ。別にいいだろっ」

「嫌です」

「おい鬼灯～！！」

「……」
しつこい。と正直鬼灯は思って、尚も絡んでくる烏頭を横目で見た。

「なぁ～俺たちはお前を家に招いたのに、お前は招いてくれないのかよ～ズルいじゃんか〜」

そうまで言われてしまうと、断りにくい…と鬼灯はため息をつく。

「(鬼灯のやつ、めっちゃ鬱陶しそうだな…)」

そんな2人の様子を見て、蓬は苦笑するしかなかった。